2025.02.20
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『まだまだ紹介したい! 私の好きな映画音楽 2024番外編』
あっという間に2025年ももう2月中旬。しかしながら2024年に当館で上映した映画の中の音楽で、紹介しきれなかったものがまだまだあります。遅ればせながら備忘録も兼ね、ざっくり紹介してみたいと思います。
マーティン・スコセッシ監督『グッドフェローズ』(1月上映)のエンドロールで使われていたのはFrank Sinatraの歌で有名な「My Way」なのですが、映画ではSex PistolsのメンバーSid Viciousによるカバーバージョンでした。イタリア系マフィアたちの友情と裏切りをスリリングかつ皮肉めいて描いた本作と、Sid Viciousの半笑いのようなふざけた歌い方による「My Way」がなんともマッチングしていてかなり印象に残っています。
2024年に観た中では私のベスト映画だったルカ・グァダニーノ監督『チャレンジャーズ』(9月上映)。テニスの攻防に被さるようにやりとりされる心理描写。その高ぶりを増幅するようなテクノミュージックがなんとも圧巻でした。アメリカのバンドNine Inch NailsのメンバーであるTrent ReznorとAtticus Rossによる楽曲です。余談ですがエンドロールで流れる「Compress / Repress」は歌もので、グァダニーノ監督作詞によるものを基に作成したそうです。
12月に上映の草野なつか監督『王国(あるいはその家について)』。脚本の読み合わせやリハーサルを切り取り、何度も同じシーンの別バージョンを繰り返すことで、次第に役者たちが変化していき、かつ断片的な情報から物語が浮き彫りになっていくという、実験的かつ画期的な映画です。もちろん本編も素晴らしかったのですが、使用されていた曲であるGrim 「Heritage」があまりにも格好良いのです。穏やかでけだるく、それでいてどこか不気味さを漂わせるこの曲が、個人的2024年ベストソングとなっています。Grimは、小長谷淳というミュージシャンによるユニットで、元々は騒音に近いようなノイズ主体の音楽がメインであるとのこと。そちらの音楽もチェックしなければ! と思っています。
自分が知らないミュージシャンを調べていると、別ユニットだったり、ほかのミュージシャンとの関係性だったり、どんどん世界が広くなっていく感じは、なんだか楽しいですよね。しかも映画を観ながら音楽を知ることができるなんて、なんてお得(?)なんだ! 今年もそんな素敵な映画と音楽に出会えたら嬉しいです。
Sid Vicious『Sid Sings』(1979)
Trent Reznor & Atticus Ross『Challengers (Original Score)』(2024)
Grim 『Message』(1987)
(ジャック)