2017.04.27

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『役者が歌う歌』

映画の中で印象に残っている「歌」のシーンはありますでしょうか。ミュージカル、音楽伝記ものなどジャンルはさまざまですが、役者の方が実際に歌を歌うというのはとても大変なことだと思います。その分、「お、本当に歌ってる!」と記憶にも残りやすいものです。今回はそんな中でも私にとって思い出深い作品を紹介したいと思います。

まず始めに思い出すのはジェームズ・マンゴールド監督作『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』です。この映画はカントリー・ミュージックのレジェンド、ジョニー・キャッシュの半生を描いています。その彼を演じているホアキン・フェニックスが実際に劇中で歌を歌っているのですが、何より驚いたのはホアキンの歌がとても上手なのです。なんとも言い表し難い人間の持つ“渋さ”みたいなものが声から聞きとれ、本物に劣らぬ魅力を感じさせてくれます。共演のリース・ウィザースプーンの歌もこれまたステキで、二人がデュエットするシーンは私のお気に入りの1つでもあります。

その他に印象に残っている作品といえば、ジョン・カーニー監督の『はじまりのうた』があります。イギリスからニューヨークにやってきたシンガーソングライターをキーラ・ナイトレイが演じているのですが、彼女の歌声もとても好きです。プロのミュージシャンを使ってスタジオで楽曲を作り上げていくのではなく、ニューヨークの路地裏やビルの屋上に機材を持ち込み、仲間を集めながらアルバムを製作していくという映画の物語にも心ときめかずにはいられません。私自身も巻き込まれてみたい! と思ってしまいます。

さて、少しずれてしまうかもしれませんがどうしても忘れられないのはベネット・ミラー監督の『マネーボール』です。映画自体も大変すばらしいのですが、劇中で主役のブラット・ピットを励ますために娘役のケリス・ドーシーが歌う歌に本当に感動しました。子ども独特の無邪気な声とアコースティックギターのシンプルながら心打つ音に恥ずかしながら泣きそうになります。まさか野球の映画を観ていて音楽でジンッとするとは。ちなみに調べてみるとケリス・ドーシーは『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』にも出演しているそうです。なんとジョニー・キャッシュの娘役とのことで、偶然ながら不思議な関係性を感じたのでした。

(ジャック)

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