2021.02.17

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

「ドイツのバンドCAN」

私がファンであるドイツのバンド「CAN」。彼らの全スタジオアルバムが昨年から再発されています! さらにインタビューやコラム、ディスコグラフィーの解説まで収録されている『別冊ele-king カン大全――永遠の未来派』という書籍も発売しており、これはもう一度CANのアルバムを最初から追ってみなければ、と勝手に思っています(怠け者なので、動き出すのがかなり遅いのですが)。

60年代後半に西ドイツで結成されたCAN。彼らの音楽を表現するのはとても難しいです。シンプルなのか複雑なのか、能天気なのか真剣なのかと考えては、やっぱり違うと思ってしまうほど全貌をとらえきれない音楽なのです。反復されるリズムとバンドのセッションによる高揚感があるのに、どこか冷ややかな感触もあります。またロックだけでなく、ファンクや民族音楽など多彩なジャンルから影響をうけているようなのですが、私はレビューなど見るまでわかりませんでした。それくらい脱色されているようにも感じます。何度も繰り返し聴くことのできるCANの音楽の魅力は、まだまだ尽きません。

さて、このCANなのですがイエジー・スコリモフスキ監督の『早春』(1970)で「Mother Sky」という曲が使われています。2018年にデジタル・リマスターされ公開されたときの予告編でも“音楽:CAN”の表記がありましたね。こちらの曲は『Soundtracks』というアルバムに収録されています。CANの曲は長尺のものも多くあるのですが、こちらの曲も10分越えとなっています。

また、様々あるホアキン・フェニックスの怪演の中でも個人的ベストな『インヒアレント・ヴァイス』(2014)の冒頭でも使われていました。物語が動き始めるところで「Vitamin C」という曲が流れます。「ビタミンC!」と叫ぶこの曲なのですが、このときのボーカルはなんとダモ鈴木という日本人が担当しています。明らかに和製英語で「ビタミンC!」といってるんですよね(笑)。ネイティブの人たちにはどのように聞こえるのだろうか…。探偵物語の緊張感と、ずこっと転んでしまうような脱力感のあるこの映画に、「Vitamin C」という曲はぴったりなのでは!

ちなみにこの「Vitamin C」という曲は『Ege Bamyasi』というアルバムに収録されています。トルコ語で「エーゲ海のオクラ」という意味で、タイトル通りオクラの缶詰が描かれているジャケットも印象的です。是非確認してみてください。

『Soundtracks』 (1970)
『Ege Bamyasi』(1972)

(ジャック)