2020.06.18
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第13回「名画座と初めての出会い~タイピスト!に誘われて~」
今回のコロナ禍によって世界中の映画館が休館するという前代未聞の事態となった頃、SNSでは映画館での思い出の投稿を多く目にするようになりました。そんなノスタルジーな雰囲気にさそわれて、私も映画館にまつわるエピソードに想いを馳せてみました。
大学生の頃ミニシアターの魅力にすっかりハマっていた私は、早稲田松竹の存在は知っていたものの、一度も訪れたことはありませんでした。通学の乗換駅にある映画館に行かないのはなんだか損している気分になり、思い切って足を踏み入れた記憶があります。そんな私が初めて早稲田松竹で鑑賞した作品は2014年に上映された『タイピスト!』(2012)です。併映作品は『最後のマイ・ウェイ』だったのですが、予定が合わずラスト一本だけ観ることに。(作品紹介ページはこちら)
舞台は1950年代のフランス。当時女性の憧れの職業であった、秘書になるため田舎から出てきた主人公ローズと、彼女の才能を見込んだ上司のルイが一緒にタイプライター世界一を目指すというラブコメディ。私を惹きつけたのはなんといっても、主人公ローズを演じたデボラ・フランソワの可愛さ! 50年代の流行ファッションに身を包み、タイプライターの前で微笑む彼女に恋してしまった人は私だけではないはずです。おまけにパンフレットはタイプライターを模したデザインで、その凝りようには驚かされました。そして極めつけは配布されていた当館のラインアップチラシも『タイピスト!』をイメージしたデザインだったのです。クシャクシャにならないように持ち帰り、今もパンフレットと一緒に宝物のように保管しています。(当時のチラシデザインはこちらからご覧いただけます! 2014年の2月を探してみてくださいね。)
改めてパンフレットを読んでみると、監督のレジス・ロワンサルはかなりのシネフィルで、様々な名作へのオマージュを散りばめたと語っています。アルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』やジャック・ドゥミ監督の『シェルブールの雨傘』など大学生の私にはピンとこなかったワードも今ではすんなりと入ってきます。あの出会いから6年という時を経て映画への造詣が深まり、少しは自分も成長できたのかなぁ。と思うしかまる。なのでした。
(しかまる。)