【注意事項】
・チケットの払い戻しはできません。
・18歳未満の方はご入場いただけません。
・チケットに記載された整理番号順に開映の20分前よりご入場いただき、場内は全席自由席となります。
・混雑している場合は、映画が始まって30分経ちますと、次の回までご入場をお待ちいただくことがございます。
・飲酒された方のご入場、アルコール類のお持ち込みはお断りいたします。
・他のお客様に迷惑をかける方、不快な思いをさせる可能性のある方のご入場はお断りいたします。
・特別興行のため、招待券はご利用いただけませんのでご了承ください。
・終了時刻などが変更になる可能性がございます。予めご了承ください。
泥棒成金
TO CATCH A THIEF
(1955年 アメリカ 106分 )
■監督・製作 アルフレッド・ヒッチコック
■原作 デヴィッド・ダッジ
■脚本 ジョン・マイケル・ヘイズ
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 リン・マーレイ
■出演 ケイリー・グラント/グレイス・ケリー/シャルル・ヴァネル/ブリジット・オーベール/ジェシー・ロイス・ランディス/ジョン・ウィリアムズ
屋根を飛び回る姿から「猫(キャット)」と呼ばれた宝石泥棒のジョン・ロビーは、今は足を洗い、仮釈放の身で自由気ままに暮らしていた。しかし、ある時、リゾート地の高級ホテルから次々に宝石が盗まれる事件が発生する。その手口がかつてのロビーのそれと同じことから、警察はすぐさまロビーを捕らえようとするが、身に覚えのないロビーは警察の手を逃れ、独自に調査を開始する。
1950年代半ばといえば、『ローマの休日』や『旅情』などヨーロッパの観光名所が舞台となったロマンティックな作品が流行していた。もともと観光名所を選ぶのが好きなヒッチコックはこの時代の傾向もうまく利用し、きわだってはなやかな作品に仕立てている。デイヴィッド・ダッジの小説からの映画化だが、ヒッチコックは『裏窓』で死体を登場させなかったのについで、ここでも宝石泥棒という多少ユーモラスな犯罪をあつかって多分にくつろいだ雰囲気にしている。
ケイリー・グラントとグレース・ケリー。ヒッチコック映画にもっともふさわしい二人を主演に選んだことも的確であり、グレースを、はじめは無感動で冷たい女として登場させながら、ラブ・シーンでは燃えるような女に変貌させ、しかも夜空の花火をあしらうなど、恋愛描写の巧みさも絶妙である。
めまい
VERTIGO
(1958年 アメリカ 128分 )
■監督・製作 アルフレッド・ヒッチコック
■原作 ピエール・ボワロー/トーマス・ナルスジャック
■脚本 アレック・コッペル/サミュエル・テイラー
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 バーナード・ハーマン
■出演 ジェームズ・スチュワート/キム・ノヴァク/バーバラ・ベル・ゲデス/トム・ヘルモア/レイモンド・ベイリー
刑事ジョン・ファーガソンは、逃走する犯人を追撃中に屋根から落ちそうになる。そんな自分を助けようとした同僚が誤って転落死してしまったことにショックを受けたジョンは、高いところに立つとめまいに襲われる高所恐怖症になってしまう。そのことが原因で警察を辞めたジョンの前に、ある日、旧友のエルスターが現れる。エルスターは自分の妻マデリンの素行を調査してほしいと依頼。マデリンは曾祖母の亡霊にとり憑かれ、不審な行動を繰り返しているという。ジョンはマデリンの尾行を開始するが、そんな彼の見ている前でマデリンは入水自殺を図り…。
フランスの第一線に立つミステリー作家チーム、ピエール・ボワローとトーマ・ナルスジャックの「死者の中から」が原作である。ヒッチコックは舞台を南フランスからサンフランシスコへ移したのをはじめ、例によって大幅な改変を行っている。
ある人物が別の人物を装うというシチュエーションはヒッチ映画によく現れるが、本作はそのトリックをもっとも大がかりに利用したもので、ウソでかためたミステリー物語の面白さに徹している。死者につき動かされる男の恋心もかなり激しく、ヒッチ作品中もっとも甘さを漂わせた作品となった。またヒロインのドレスや髪の色、さらに“めまい”の眩惑的シーンなど色彩の処理も見事である。
マーニー
MARNIE
(1964年 アメリカ 129分 )
■監督・製作 アルフレッド・ヒッチコック
■原作 ウィンストン・グレアム
■脚本 ジェイ・プレッソン・アレン
■撮影 ロバート・バークス
■音楽 バーナード・ハーマン
■出演 ティッピ・ヘドレン/ショーン・コネリー/マーティン・ガベル/ダイアン・ベイカー/マリエット・ハートレイ/ブルース・ダーン
会社を経営するマークのもとに、マーニーという女性が仕事を求めて面接にやってくる。マークは、彼女が知り合いの会社の金庫から大金を盗んで消えた女であると見抜くが、気づかぬふりをしてそのまま雇うことにする。やがてマーニーに心ひかれたマークは、彼女を犯罪から救い出すためにも半ば強引に結婚する。赤色や雷、そして男を異常なまでに嫌い、盗癖を抑えることができないマーニーを見たマークは、彼女自身が意識していない過去になにか原因があるのではと考えるが…。
ウィンストン・グレアムの長編小説「マーニー」が1960年に出版された時、ヒッチコックはただちに映画化権を手に入れたほどこの原作が気に入っていた。マーニーを演じるのはモナコ王妃におさまったグレース・ケリーをおいていないと考えたが彼女のカムバックは叶わず、『鳥』のティッピ・ヘドレンを起用することによって実現をみた。
マーニーには盗み癖があり、男性に触れられることを恐れる。それはなぜか。異常な行動と心理の裏にあるものを解いていく謎解きの興味と同時に、精神分析の手法を用いて動機をつきとめようとする。しかし単に動機探しのミステリーに終始せず、マーニーという女性の“傷”を捉えたところにこの映画の深さがあるといえよう。
※解説はすべて「ヒッチコックを読む」(フィルムアート社刊)より抜粋