2024.11.28
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック
![](http://wasedashochiku.co.jp/wp-content/uploads/2024/08/Priscilla02.jpg)
『プリシラ』に聞き覚えのある曲が
9月下旬に上映しましたソフィア・コッポラ監督の『プリシラ』。少女プリシラのエルヴィス・プレスリーとの出会い、今までとは違う別世界での生活と結婚、そして別れを、煌びやかでありながら、シンプルに描き、どこか物悲しい作品だったと思います。私が印象的だったのは映画終盤に豪華な屋敷からプリシラが出ていくシーンで流れていた曲。「あれ?どこかで聞いたことある…」と思いながら聞いていると、曲のサビで「エンダ~~」というフレーズが。そう、ミック・ジャクソン監督作『ボディガード』(1992)で使われている「I Will Always Love You」だったのです。しかしホイットニー・ヒューストンののびやかで力強い歌ではなく、あどけなくゆったりした感じ。こちらで使用されていたのは女優としても活動している、ドリー・パートンというカントリーミュージックを代表するミュージシャンのオリジナルバージョンで、彼女が作詞作曲しています。ホイットニー・ヒューストンのバージョンはカバーだったのですね。
ドリー・パートンはこの曲はもちろん、数々の曲がランキングで1位に輝き、グラミー賞も何度も受賞している超ド級のメジャーミュージシャンなのですが、私は『プリシラ』に出会うまで知りませんでした。しかも映画を観ていたときは、「近年新しくカバーされたバージョンがあるのかな」なんて思ってしまう始末。まだまだ知らないことが多くて恥ずかしい限りです。ちなみにパンフレットに寄稿されていたコラムによると、エルヴィス・プレスリーも「I Will Always Love You」をカバーする計画があったようなのですが、契約の関係で泣く泣く叶わなかったとのこと。その曲が終盤で流れるなんて、なんだか感傷的になってしまいますね。
またこちらの曲はなんとマーティン・スコセッシ監督の『アリスの恋』(1974)でも使用されています。どうやら主役を演じるエレン・バースティンとハーヴェイ・カイテルが出会うバーのシーンの背後で流れていたようです。今年の1月に当館で上映したときに観ているはずなのですが、気づきませんでした。ドリー・パートンが「I Will Always Love You」をリリースしたのは1974年なので、まさにその年を象徴する歌だったのではないでしょうか。もしかしたら、当時どこのバーでもこの曲がジュークボックスやラジオから流れていたのかもしれません。
(ジャック)
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