2016.07.14
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック
「映画を彩る印象的なカバー曲」
フランスのナイトクラブ・クレイジーホースのドキュメンタリーである、フレデリック・ワイズマン監督作『クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち』という作品を以前早稲田松竹で上映しました。その映画の中の曲が、良いムードを醸し出していて好きだなあと印象に残ったのですが、特に調べることも無くそのままにして数年。つい先日そのことを不意に思い出したので、これを機に調べてみることにしました。
どうやらクレイジーホースでは定番らしい「Upside Down」という演目に使われており、ヤエル・ナイムという方が歌う「toxic」という曲だということが判明しました。私はここでとても驚きました。「toxic」ってもしかしてあの「toxic」?そうです、2004年に世界中でヒットしたブリトニー・スピアーズの「toxic」のカバー曲だったのです。恥ずかしながら全く気がつきませんでした。原曲がアッパーなセクシーさだとすると、ヤエル・ナイムのカバーのほうは、とてもシンプルで妖艶な魅力があります。改めて聞いてみてもやっぱり良い曲だなあと思います。
そういえば、劇中でカバー曲が印象的に使われていた映画が他にもありました。テリー・ギリアム監督の『ゼロの未来』では、レディオヘッドの「Creep」という曲をアルゼンチン出身の歌手カレン・ソウサという方のカバーバージョンを使っています。ヒロインが出てくるアダルトサイトのBGMとして使われており、彼女が歌うジャズっぽいアレンジの「Creep」とのギャップにクスッとしてしまったのですが、エンドロールでも同じ曲が流れ、何故かこちらでは感動するという二段構え(?)になっています。
またウェス・アンダーソン監督の『ライフ・アクアティック』ではデヴィッド・ボウイの曲がポルトガル語でいくつかカバーされていました。ブラジル出身の歌手であり俳優でもあるセウ・ジョルジが海洋探検チームのクルーとして劇中でギターを弾きながら歌っています。甲板で「Space Oddity」を歌っていると後ろから海賊船が近づきハシゴを掛けられ、そのハシゴを不思議そうな顔で見るというユニークなシーンはとても印象的です。またエンドロールでは「Queen Bitch」をカバーしています。エンドロールが終わるまで、ほぼ丸々聞くことができるのもウェス・アンダーソン監督らしいこだわりだなあと思いました。
(ジャック)
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