2024.09.19

【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO

「皆でMADを駆け抜けよ」

まだまだ暑いですが、今週の早稲田松竹のスクリーンも激熱です。そう、狂気MAXのデス・ロードを激走する怒りの戦士フュリオサが降臨しております。

溯ること9年前、2015年10月に早稲田松竹では、不朽の名作『マッドマックス2』(1981)と、当時30年ぶりのシリーズ4作目の新作と話題を集め、大ヒットとなった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)の二本立ての上映を行いました。当時の『デス・ロード』の人気は凄まじいものがありました。そんな熱気に後押しされ我々スタッフも、ショーウィンドウにペーパークラフトのインターセプター号をディスプレイし、缶スプレーでマッドマックスのロゴをプリントしたTシャツを着て接客を行い、お客様と一緒に映画の狂気を楽しんだ上映でした。ウォーボーイズの“V-Eight”ポーズをした記念写真がしっかり残っていました。

そんな『デス・ロード』が9年ぶりに早稲田松竹に帰ってきています。今回は最新作『マッドマックス:フュリオサ』(2024)との二本立てとなっています。この作品は『デス・ロード』の前日譚となっており、少女が戦士フュリオサへと成長していく姿が描かれています。ということで今週の試写担当だった私は、『フュリオサ』→『デス・ロード』の映画の時系列順に試写を行いました。(当館のタイムテーブルもフュリオサが初回です。)言わずもがなですが、最高でした。想像を超えて最高でした。『デス・ロード』が更に面白く見えるのです。これは2本立ての新しい醍醐味を見つけた気持ちになりました。

映画の舞台であり、ジョージ・ミラー監督の出身であるオーストラリアでシリーズは撮影されています(『デス・ロード』はオーストラリアの荒野が記録的大雨により一面花畑になってしまった為、ナミビアに変更)。第一作『マッドマックス』は低予算を逆手に「暴走族を演じるのはボス役を除いて全員本物の暴走族」と宣伝されました。これはもちろん嘘ですが、シドニーからメルボルンまでの900キロをトーカッターギャングの衣装とバイクで実際に移動し本物を追求したそうです。私も10代の頃に愛車・ヤマハXJR400に跨り、ひとりで茨城~京都を往復したことがありますが辛くて2回程泣きました。また、学生時代に皆とバイクで列をなしてツーリングしていた時の気分は、振り返るとイモータンやディメンタスでした。集団ツーリング特有のMAD状態だったのでしょう。

『デス・ロード』は公開後も様々な映画館で再上映が行われ、絶叫上映などのイベント上映企画も組まれ、今ではアクション映画史に残る〝伝説〞となりました。ミラー監督が『マッドマックス』(1979年)で長編映画デビューしてから、36年後に作り上げた『デス・ロード』。更に9年後の現在、5作目『フュリオサ』では極上のエンタテイメントを完成させました。監督が人生を捧げたマッドマックスシリーズは、キャストやスタッフを変えながらも一貫してミラー監督がメガホンを取り続けました。御年79歳の監督ですがこれからも頑張って欲しいと思います。そして私はこの『デス・ロード』から『フュリオサ』までの歴史的瞬間を劇場で体感できた経験は忘れる事はないでしょう。

ちなみに、監督のフィルモグラフィーを見ていて今更気づいたのですが、小学生の頃に好きで見ていた『ベイブ/都会へ行く』(1998)がジョージ・ミラー監督作だったと知ってさらに嬉しくなりました。 

(KANI-ZO)

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