2023.02.16
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:立春(りっしゅん)、末候:魚氷上(うおこおりをいずる)
少し暖かくなったかと思えば、まだまだ冷え込む日もあってなかなか気が抜けませんね。でも日が出れば少しずつ暖かい日に近づいているのは確かに感じて、どこに旅行へ行こうとか、今年はどんな新しい出来事にチャレンジしたり出会ったりするだろうとわくわくしています。節気は立春、天候は魚氷上(うおこおりをいずる)。実はこのお題(というかコラムのタイミング)は過去にも二度ほどあり、今回は三度目。いつも似たような季節の挨拶文みたいなコラムですが、当然ながら何度書いていても同じにはなりません。でも、書きたいなとすぐに思い浮かぶことは同じだったりして、自分でも驚きます。前回もやはり氷について映画(『薄氷の殺人』『デカローグ』)のことを書いていましたが、今回もすぐに思い浮かんだのは『デカローグ』でした(昨年末に上映したばかりですしね)。何度も同じことを書くこともこんなコラムでしかできないと思えば、これも季節ごとに何かすることの面白さなのかもしれませんね。
魚氷上は、溶けた氷の隙間から勢いよく魚が飛び出たような様子のことを言いますが、実際には薄くなって透けた氷を覗くと下に泳いでいる魚の影が動いているぐらいのイメージ。確かに、飛び出ちゃうのはちょっと過激。でも魚氷に上る(うおひにのぼる)という俳句などで使う季語はそういう元気に(ちょっと調子にのりすぎて)氷の上に上ってしまう様子を詠むそうで、想像すると面白いですよね。俳句として詠むときには皆さん、日常と非日常をつなぐような事象として使っている方が多い気がします(一句引用:複写機のまばゆさ魚は氷にのぼり 鴇田智哉)。やはり前回にも書いた「氷」のサスペンス性はここにもあって、氷は割れるか割れないか、またよくみえない水の下と水面上とをつなぐスリリングな装置なのです。どっちに転ぶかよくわからないし、分けられているはずの空間のものが飛び出てきたりする。気温が掴みづらく、厚手のコートを着ていけば暑かったり、そうかと言って薄着をすれば寒すぎたりするこの季節にも似ている気がします。こんな季節をどう過ごせばいいんだろうと案じてみても、我慢しようとしても、結局ワクワクしてしまえば飲みすぎたり出歩いたりしちゃいます。仕方ないですよね。
(上田)