2021.07.15
【スタッフコラム】この推しスター! byパズー
今月の推し「スティーヴン・ユァン」
ハリウッドでアジア系俳優の活躍が目立つようになった昨今。けん引する存在といえるのが、今回の推し、スティーヴン・ユァンではないでしょうか。2021年のアカデミー賞では、主演した『ミナリ』でアジア系アメリカ人として史上初めて(!)オスカーにノミネートされました。
現在37歳、韓国系アメリカ人のスティーヴン。韓国・ソウルで生まれ幼少期にカナダへ移住、その後も一家でアメリカ・ミシガン州を転々としたそう。当たり役はゾンビと戦う人間たちのサバイバルを描く大ヒットドラマシリーズ「ウォーキング・デッド」(2010~)のグレン役。シーズン7まで出演しドラマ内No.1人気キャラともいわれていますが、彼の去り際が衝撃的らしく、グロ系が苦手な私は今日まで見られていません。
個人的に彼を認識したのは、イ・チャンドン監督の『バーニング』(18)。主人公が出会う謎の裕福な男ベンを演じました。全編韓国語での演技は、アメリカ育ちのスティーヴンにとっては簡単ではなかったはず。でもその少しの違和感というか異質な感じが役にマッチしていて強い印象を残しています。そういえば、この映画での彼のラストシーンも衝撃的でしたね…。
『バーニング』の前年にはポン・ジュノ監督『オクジャ』(17)にも出演しており(イ・チャンドンと彼を引き合わせたのは他でもないポン・ジュノだそう!)、韓国の二大巨匠と仕事をしているスティーヴン。その経験が役者としてネクストレベルに引き上げたのは言うまでもありません。製作総指揮も務めた最新作『ミナリ』はアカデミー賞主要賞に軒並みノミネートを果たす快挙を達成しました。1980年代にアメリカンドリームを夢見て移住した韓国系移民一家の物語は、まさにスティーヴンの家族と重なります。ちなみに、実際のモデルは同じく韓国系移民のリー・アイザック・チョン監督の家族であり、しかもリーはスティーヴンの妻・写真家ジョアナ・パクのいとこだというから驚きです!
即興演劇の出身だけにコメディアンとして、またアジア人の見た目であることのハンデがない声優としても活躍してきたスティーヴン。とてもハンサムだけど、ルックスを押し出した役はほとんどないところが真のイケメンですね。今後も映画からテレビ、コメディからアニメまでバラエティにとんだ出演作が目白押し。『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督の新作出演も決まったとか! アジア系の旗手としてスター街道を突き進んでほしいです。
(パズー)