2020.11.04

【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO

「KANI-ZOは、はしの方」

早稲田松竹で城定秀夫監督作品『アルプススタンドのはしの方』の上映が決定しました。この作品は夏の甲子園大会の熱気みなぎるアルプススタンドが舞台。その応援席の端っこでさえない顔で試合を見つめる演劇部、元野球部、帰宅部たちの“はしっこ”の青春を描いた作品です。

私も中学から野球を始め、高校一年の夏に野球を辞めたのでこの作品のテーマには、心がチクリと痛みます。背伸びがしたくてバイクに乗り始め、その仲間とバイクで同級生の大会に応援に行った高校最後の夏。グラウンドでプレーする彼らは眩しいくらいに輝き、私は夢中で声を出して応援していました。今思い返すと、何に向かえばいいのか分からなかった高校三年生の私に、前に進む力を与えてくれた出来事だったように思います。

それから自分はこれから何がしたいのか考え、大好きな映画を作りたいと思うようになり映画への道が始まります。しかし、映画の学校や、のちに挑戦する撮影現場は私にとっては辛い場所でした。映画が完成するまでには、あまりにもたくさんの人の協力が必要で、その人たちに迷惑をかけてしまう事があの頃の私にはどうしても耐えられませんでした。また、それを乗り越える志も足りなかったと思います。でもそんな時、道を見失った私に映画の学校の恩師はこんな言葉をかけてくれたのです。

「映画が好きなら、離れないほうがいいんじゃないのか」

そう言って教えてくれたのが、早稲田松竹という職場でした。もうすぐ務めて十年になりますが、この言葉があったからだなと改めて思います。ちなみに、その恩師は、城定監督が助監督時代に就いていた監督である、ピンク四天王の一人、サトウトシキ監督です。『アルプススタンドのはしの方』を通して、こんな昔のことを思い出したのでした。

(KANI-ZO)