2020.08.26

【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO

早稲田松竹の日常から「KANI-ZOと鳥」

只今、早稲田松竹ではケン・ローチ監督特集で『家族を想うとき』『ケス』を上映中です。私は、試写で両作品初めて観ましたが、とても心に残る重厚な作品でした。特に、少年と鳥の物語を描いた『ケス』は、とても楽しみにしていました。ある日、「ケスの鳥ってタカとハヤブサの2種類の情報があり、どっちなんだ?」と話題になったときのこと。私は、母が中学生の頃から野鳥の会に入っている、筋金入りの鳥好きだと頭をよぎりました。

私が物心ついた頃から我が家の車には、常に大きな望遠鏡と三脚、そして双眼鏡は兄弟三人分も含めゴロゴロ積んでありました。母が運転しながら、「あれトンビ?いやタカかな…」などと言いながら車を止めて双眼鏡を構えます。「ほら見てみな」と母に促されのぞき込む子供たちに、「あれは羽に斑点があるからトンビね」と教えてくれるのです。本当に珍しい鳥だと大きな望遠鏡を抱えて車から飛び出していました。今では県の副支部長的な事をやっている母。最近では、父に買ってもらった新しい望遠鏡を嬉しそうに自慢してきました。やはり車内に装備しているそうです。

そんな母に、ケスの件を画像を添えて聞いてみると、すぐに「ハヤブサだね。顔が違う。インコに似てる?」と返事がありました。立て続けに「子供の腕に乗るサイズで広げた尾羽の縁に黒い模様があるからチョウゲンボウかな」などとガンガン返事がきます。さらに近所のスーパーの営巣したチョウゲンボウのヒナの写真までもが送られてきました。母は昔から、鳥の事になるとまるでガイドさんのように家族に説明してくれるのです。

ちなみにチョウゲンボウの英語はKestrel。だから、主人公の相棒のハヤブサも”Kes”と名づけられているのですね。また、10年くらい前までは分類がタカ目ハヤブサ科だったそうで(現在はハヤブサ目ハヤブサ科)、『ケス』の公開当時にチョウゲンボウをタカと表現していた事も間違いではないとのことです。

音もなく飛び、凛とした気高い振る舞いを見せるケスに主人公の少年が魅了されるように、鳥には人を惹きつける奥の深い魅力があるのだなと改めて感じました。母もまたその一人だな、と思う今日この頃です。

(KANI-ZO)