2025.05.15
【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO
「さわやかな風吹くGW」
今年のゴールデンウィークは、さわやかな風が吹き抜けていきました。
早稲田松竹は5/3より1週間、五十嵐耕平監督『SUPER HAPPY FOREVER』と空音央監督『HAPPYEND』の二本立てと、両監督の短編集5作品をレイトショーで上映しました。両監督のトークショーでは、若手監督同士の熱くも冷静な感覚で挑む映画制作の話や、おふたりの人生も併せて語られる映画論を私もたっぷりと聞くことができました。また、連日多くのお客様で賑わう劇場やその熱量に、邦画の新しい風を感じました。
また、移動映写のお仕事では、学校上映に2か所行ってきました。1か所目は35mm映写機をホールの客席後方に2台設営して東陽一監督『橋のない川』を上映しました。上映前に先生が生徒へ、上映後の休憩時間には35mm映写機も来ているので興味のある生徒は見学してくださいとアナウンスしていました。我々映写3人はあまり今の子たちは興味ないだろうなぁと思いつつ、映写をスタートさせました。生徒たちは熱心に集中して映画を見ていました。休憩時間になると、恐る恐る2~3名の生徒たちが映写機を見に来て質問をしてくれました。「なんで2台あるんですか?」「これはいつ頃作られた映写機ですか?」と先輩映写技師が質問攻めにあっていました。最終的には20名ほどが集まり、映写技師3人はそれぞれが生徒に囲まれて質問に答えました。生徒たちは「初めて見る!」と言いながら35mmフィルムを間近で覗き込んだり、その重さを体験したりしながら目を輝かせていたのが印象的でした。普段は裏方の我々は、休憩終了後に「変な汗かいちゃったね」と言いつつ、中学生たちが興味を持ってくれた事が嬉しくて、撤去で担いだ映写機がいつもより軽く感じたのは内緒です。
2か所目は翌日に別の学校で、『パンダコパンダ』と続編『パンダコパンダ 雨ふりサーカスの巻』の上映でした。お客様は可愛らしい幼稚園生と小学生低学年です。私は、
映写室の脇から場内の確認をしていたのですが、生徒たちはお行儀よく入場して着席していました。この学校の生徒たちはしっかりしているなと感心しつつ、いよいよ
上映スタートです。映画が始まると体感では15秒に1回ほど生徒たちの笑い声がホールに響いていました。高畑勲・宮崎駿タッグの恐るべきマジックでした。また、オープニングで流れた主題歌が、エンディングで流れ始めるとなんとみんなで手拍子を打ち始めたのです。
「パンダ♪パパンダ♪コパンダ♪ (手拍子)パン!パン!」
あぁ50年も前の作品なんだよなぁ。みんなで映画見るのっていいなぁ。なんて素敵な光景なのだろうと、私は映写室の脇から生徒の後姿を見つめながら感動してしまいま
した。新しい風やキラキラとした目、そして素敵な光景を映写の仕事を通して出会うことのできたGWだったなぁと思う今日この頃です。
(KANI-ZO)