2024.06.20

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:芒種(ぼうしゅ)、末候:梅子黄(うめのみきばむ)

気温が30度を越す日も増えてきて、いよいよ暑くなってきましたね。東京も今週末には梅雨に入るそうです。梅雨の語源には諸説ありますが、梅の実が色づくこの時期に長雨が降ることから梅雨と呼ばれるようになったそうです。最近でも梅酒の人気が高いことも手伝ってか、手軽に自分好みの味にできる自家製梅酒を作る人が増えているそうですよ。ちょうどこの時期は田植えの時期にもあたり、この季節を「芒種(ぼうしゅ)」と言います。稲は気温が低いのが苦手ですから、平均気温が高くなってもう寒さの続かない6月頃までに田植えを終えるそうです。田植えの手伝いは昔から人助けの精神に支えられてきたと言いますから、コロナ禍では帰省自粛などで人手不足がより深刻化していたのだそうです。夏野菜の収穫もある頃ですから本格的に雨が降り出す前は大忙し、帰省がごく普通に行える日常のありがたみを感じます。

明日は一年で最も日照時間の長い夏至です。夏至というと日本ではあまり催しがありませんが、スウェーデンでは豊作を祝うミッドサマー(夏至祭)が行われます。伝統的な食事や、音楽とともにメイポールと呼ばれる白樺の葉や季節の花で装飾された柱の周りを踊るのですが、舞台の設定はまるで日本の盆踊りのようです。ただちょっと違うのが、このお祭りが昼に行われること。この「夏至祭」を題材にオカルトホラーの要素を盛り込んで、白夜に行われる架空の村でのお祭りを描いた『ミッドサマー』は公開時、世界的に大きな話題になり「明るいのに恐ろしい」「白昼のホラー」と称されました。この作品の監督であるアリ・アスターが『ミッドサマー』の実に4倍近い予算で製作した最新作『ボーはおそれている』を今週末から当館で上映します。こちらの作品にはお祭りは出てきませんが、母親の元に帰省しようとすることから様々な出来事に巻き込まれるボー(ホアキン・フェニックス)と一緒に悪夢を体験するような不条理劇です。ホラーとコメディが綯い交ぜになったユニークな展開も見事ですが、音響効果も際立っていて映画館で鑑しがいのある作品です。まさか、帰省と夏至の話からこの作品につながるとは思っても見ませんでしたが、昼の二本立ても今やホラー映画界の名親子になった(?)デヴィッド&ブランドン・クローネンバーグ監督のそれぞれの最新作でホラーづくしです。怖いものみたさにまかせて、蒸し暑くなる季節にホラー映画で涼をとってみてはいかがでしょうか。

(上田)