2016.12.15

【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO

今回は、35mmフィルムが映画館にやってくる時を、わたくし目線でご紹介したいと思います。そもそも35mmフィルムとは映画の映像と音声が入っている幅35mmの長いフィルムです。2時間の映画だとおよそ3kmの長さになります。これを映写機にかけ、光を当て、レンズで拡大してスクリーンに投影することで映像を見ることが出来ます。

そんな長いフィルムは、くるくるとバームクーヘンの様にまかれて4~8巻くらいに分割されて、それぞれ缶に封入され映画館に送られてきます。基本的には直径40cm×高さ5cmの円形、素材は金属製やプラスチック製の缶です。配送されるときには、複数の缶を積み重ねてまとめる頑丈な布製の大きなコンテナという袋に入って輸送されます。重さは大体30kgくらいだと思います。長尺作品はフィルムの量も多いので2コンテナに分けて来ますが、たまに大きな1コンテナで配送されるときには、ひとつの重さが50kgを超えているのではないかと思うほどの重いのもいます。なので、下の方に入っている缶は重みでひしゃげたり、割れたりしている物が多くあります。様々な映画館を渡り歩いてきたので、その都度補強を繰り返した跡があり、歴史を感じることが出来るのです。また、古いフィルムだと、ふたを開けると臭いフィルムもあります。これはフィルムが劣化するとそのような匂いを発するそうです。

フィルムが送られてきた中で一番印象的な姿をしていたのは2011年に上映した、タルコフスキー監督特集での『惑星ソラリス』『鏡』でした。基本布製のコンテナなのに、金属製で表面は錆つき、輸送の際のシールの痕で覆われたおどろおどろしいコンテナが沢山来たのです。我々は「パンドラの箱だ!」と名づけました。コンテナのロックは配送中に歪み、開かないので金槌で歪みを戻して開けました。中のフィルム缶も金属製で古びていて、ロシア語の表記があるので流石タルコフスキーだなとワクワクが止まらない経験でした。このような感じでフィルムは当館にやってくるのです。

(KANI-ZO)