2017.08.24
【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO
今回は、先輩スタッフの仕事後の日常から生まれた、とある企画の誕生の舞台裏をご紹介します。事の始まりは、ただ今上映中の『夜は短し歩けよ乙女』。本作の原作にも登場する京都木屋町のバー「月面歩行」のモデルとなったバー「ムーンウォーク」が高田馬場に二店舗あります。このバー「ムーンウォーク」が、映画の公開にあわせて開催していたコラボ企画を、当館での湯浅政明監督特集の上映期間にも、高田馬場店と西早稲田店限定で復活することになったのです。
それを聞きつけた先輩スタッフは、日々ひとり飲みで培った嗅覚を活かし、すぐさま仕事終わりに、西早稲田店へ飲みに出かけたのでした。その翌日、「早稲田松竹のオリジナルカクテルを作ってくれるって!」と一言。なんと仕事の早い男だと私は思いました。
その“先輩”は私が勤め始めたばかりの頃、高田馬場という街や早稲田松竹の事など、仕事終わりに飲みに行きながらたくさん教えてくれました。学生が多く雑多な高田馬場に少々戸惑っていた私は、それがきっかけでこの街に親しみを持ち、職場にも馴染んでいった気がします。良き思い出です。
そんな先輩と私は早速、仕事終わりに早稲田松竹オリジナルカクテルの試作に向かったのです。まず、お店のマスターが作ってくれた一杯目は、松・竹からイメージして夏にぴったりなグリーンとゴールドのグラデーションが美しいトールグラスのカクテル。その名も「早稲田松竹スペシャル」。私は試飲した際、最初は「メロンソーダかな?」と思いましたが、なんと抹茶のリキュールでした。しっかり味わうと和のテイストがあり女性も飲みやすいと決定!
さらに、先輩と二人で話し合い、お酒好きな大人が楽しめるカクテルもリクエストしました。こちらは銀幕をイメージした渋めの電気ブランベースのショートカクテルでスクリーンのようにシルバーに輝きます。まるで映写機から投影される光のようなので、先輩が「マジックランタン」と命名。なかなか飲む機会の少ない電気ブランの香りを楽しんでいただけたらと思います。
快くご協力いただいた西早稲田店のマスターにご挨拶して試作は終了。カクテルの完成に満足した先輩と私は、夏の夜風をまとい「我々も年をとったなぁ」と、ノスタルジーに浸りながら高田馬場を後にしたのでした。
(KANI-ZO)
© 森見登美彦・KADOKAWA/ ナカメの会