2017.09.14

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

『マインド・ゲーム』のカラフルな映像と音楽

湯浅政明監督作『マインド・ゲーム』の衝撃が未だに残っています。8月末からの9月1日までの上映のために、幸運にも試写の担当になりました。恥ずかしながら初見であり試写のため一人で観て、その映像、音楽、みなぎるエネルギーにのめりこんでしまいました。試写が終わったのが夜中なのですが、別の早稲田松竹スタッフたちにこのすばらしさを伝えるために連絡しなければ! と思ったほどです(実際には迷惑なのでやめました)。

私は湯浅監督の作品は、映像とともに音楽がとても重要な位置を占めていると思っています。この『マインド・ゲーム』の音楽を担当しているのは山本精一さんというミュージシャンで、本編の多種多様な表現、極彩色な映像にまったく劣ることなく、さまざまな音楽を聞かせてくれます。ストレートなロックから、サンバ、ボサノヴァと様々なジャンルを飛び越え、基本的にはポップでテンションがあがるような曲でありながら、どこかひんやりとした感触が、人生の多様性と可能性を描いている本作の物語と映像にばっちり合っていると思いました。

その中でもお気に入りなのはテーマソングでもある「MIND GAME」という曲で、ヒロインの姉がセクシー(?)な格好で踊りながらペンキを頭からかぶり、体のシルエットをキャンバスに写すシーンで使われていたのが印象的です。曲自体もほんのりストリップをイメージするような妖しさと不思議な魅力に溢れています。『ちびまる子ちゃん』や『クレヨンしんちゃん』など湯浅監督のかかわる他の作品にもある陽気なエキゾチックさ。サイケデリック感。その魅力を音楽が見事に支えているからこそ、映像と音の相乗効果を生んでいるのかもしれません。

ちなみに『マインド・ゲーム』のサウンドトラックCDに「MIND GAME」は収録されているのですが、このシーンで使われている曲は歌なしバージョンなので、映画を観た人だけの特権となっています。

「Mind Game Original Soundtrack」山本精一と不思議ロボット

(ジャック)

©2004 MIND GAME Project