2021.11.18

【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。

第20回「サンドイッチもドラマもシンプルが良い」

だんだん夜も冷え込んできて、冬の気配を感じるこの頃。私はこうして寒くなるにつれて、体の内側から温まろうという意識が働き自炊でスープを作る頻度が多くなります。今回はそんな季節にぴったりな家でゆっくり温まりながら観たくなるドラマ『パンとスープと猫日和』をご紹介します。

群ようこさんの同名小説を原作にしたドラマで、全4話と短く観やすいのもおススメポイント。主演は『かもめ食堂』『めがね』『プール』などで独特の存在感を放つ小林聡美さん、監督は『マザーウォーター』や『東京オアシス』の松本佳奈さん。他にも、もたいまさこさんや加瀬亮さんも出演しており、劇中のご飯はフードスタイリストの飯島奈美さんが担当するなど前述の作品での共通点も多く、ファンなら見逃せないドラマです。

主人公のアキは出版社に勤める編集者で、定食屋を営んでいた母の死と仕事を辞めたのをきっかけに、一人でサンドイッチとスープのお店を始めます。物語では全体を通して大きな事件や変化はないけれど、店をやっていく覚悟を決めた主人公と、それをそっと見守る人たちのやり取りに心が温まります。

食を軸にしたドラマはお馴染の食レポや作り方のナレーションがある場合が多いので、私は最初このドラマを観た時、レシピの説明とかないのかぁ…。と少し不思議に思いました。しかし最後までしっかり観てみると納得。このドラマでは誰かの「美味しい。」の一言や表情にフォーカスが当たっていて、母親が営み皆から愛されていた定食屋をアキが少しずつ自分なりの店に変えていくという、あくまで主人公の生き方を追うドラマなのだと気付かされます。それと同時にドラマに登場する料理を再現してみたいという欲望が沸き上がり、料理のシーンをじっくり観察して真似できそうなものを作ってみました。

私の一押しは第2話に登場する「ほうれん草とスクランブルエッグのサンドイッチ」です。主人公アキを演じる小林聡美さんの料理シーンは手際よく、具材の黄色と緑のコントラストが鮮やかで食欲をそそります。塩で味付けし炒めたほうれん草に半熟とろとろの卵。その上にのせたスライスチーズが具材の余熱で少しずつ溶けていき一口頬張ればもう幸せ…。作ってみて気づいたのですが、ドラマに登場するサンドイッチはどんな味のスープにも合うシンプルな具材と調理方法のものが多く、これをきっかけに自作のスープとサンドイッチの組み合わせが私のお弁当の定番になったのでした。

(しかまる。)