2021.08.04

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:大暑(たいしょ)、次候:土潤溽暑 (つちうるおうてむしあつし)

梅雨明けから暑い日が続きますね。梅雨明け十日までは一年で最も暑いと言いますが、それを過ぎると天気が崩れやすく、また蒸し暑さが増してくる時期でもあります。夏の暑さは好きなのですが、年齢を重ねるにつれて汗をかくことが妙に不快になってくるのはどうしてでしょうね。オリンピックが始まり新型コロナウイルス(こういうものはいつまでが新型なのでしょう)の猛威がふるうこの夏も、もうじき大暑から立秋へと移り、暦の上ではもうすぐ秋に入ることになります。

毎年夏になると放送局が企画する戦後〇○年特集などがあるからでしょうか、夏になるとどうしても戦争のことを思い出してしまいます。「原爆忌」という言葉は歳時記によっては季語として載っているのですが、広島忌(8月6日)と長崎忌(8月9日)では暦の上では夏と秋に分かれます。二度落とされた原爆が日本人の言葉の記憶に季を跨いで刻印されている姿を見ると、私は悲しくなりながらも、この言葉を句に詠もうとした詩人たちの強い意志を感じます。お盆にも重なる日本人にとっての追悼のイメージは夏の暑さや静けさとともに思い出され、夏の記憶はいつまでも戦争のイメージと分かちがたいものであり続けるのでしょうか。一方で、東日本大震災の記憶について議論になっていた言葉があります。それは「フクシマ忌」でした。

それを知ったのは、多くの犠牲者を出した災害と原発事故の記憶を新季語として俳句のなかに詠もうとする人たちがいる一方で、その言葉を使用することに疑問があるという俳人についての記事でした。「安易に言葉にすることが問題をいち早く簡単に括ってしまおうとすることにつながるのではないか」という言葉は深く受け止められるべきだと思いながら、この事故を風化させてはならないとなんとか言葉にしようとする人たちの葛藤に深く考えさせられました。新型コロナやオリンピックについての話題で、多くの言葉が行き交い、少し混乱してしまいそうですが、未来へと続く大事なこと一つ一つになるべく丁寧に向き合っていきたいなと思います。

8月14日から8月20日まで上映する小森はるか監督特集『息の跡』『空に聞く』『二重のまち/交代地のうたを編む』はどの作品も震災で大きな被害を受けた岩手県陸前高田市と、そこで生活を続ける人々についてのドキュメンタリーです。その生活の営みだけでなく、震災後の生活について「言葉にする」「声を届ける」人々の姿はまさに現在と向き合う言葉をたくさん教えてくれます。是非この機会にご覧頂ければ嬉しいです。

(上田)