2024.07.25
【スタッフコラム】この推しスター! byパズー
今月の推し「ブノワ・マジメル」
『ピアニスト』(01)という映画をご覧になった方は多いかもしれません。鬼才ミヒャエル・ハネケによる狂気の一作。私の心にも軽くトラウマのように残り続ける強烈な作品ですが、物語と同じく印象に残ったのは、イザベル・ユペール様演じる主人公と倒錯的な恋に落ちるブノワ・マジメル(以下ブノワたん)のまばゆいほどの美しさでした。
14歳の時に『人生は長く静かな河』(88)でデビューしてから、名だたる巨匠たちの名作に出演し続けているフランスが誇る名優ブノワたん。『ピアニスト』が代表作ということもあり、やや変態的(?)な作品も多い気がしますが、彼の魅力はどんな役でもなんとなく品がありピュアな雰囲気があるところ。実は2016~17年に薬物で逮捕され、更生施設にも入っていましたが、キャリアが途切れることはなく(そのあたりフランスという国の懐の深さを感じます)むしろ出演本数は近年増えているようです。かつてのほっそりとしたナイーブな青年から、だいぶ恰幅の良いワイルド系おじさんになりましたが、瞳の奥の繊細さは変わりません。
さて、5月に当館で上映した『ポトフ 美食家と料理人』(23)は、ジュリエット・ビノシュとのW主演が大変な話題を呼びました。なぜかというと、二人はかつてパートナーだったからです。『年下のひと』(99)という作品で出会い、娘も一人生まれましたが、2003年に破局。20年ぶりの共演となった『ポトフ~』は、恋人よりももっと大切な絆がある男女の愛の物語で二人の息はぴったりでした。日本の媒体ではプライベートな質問はあまりみかけませんでしたが、欧米のインタビューでは二人揃って出会いや恋に落ちた時のことなどにがっつり答えていて、いくら仕事といえど、それぞれの今のパートナーはちょっと複雑じゃないかしら…と余計な心配をしてしまいましたね。
近年は『地下室の変な穴』(22)など、コメディやジャンルものにもたくさん出演していて、なかなか日本公開しないものも多いですが、まさに第二のキャリア絶頂期を迎えている感じがします。作品選びがうまいブノワたんなので、これからも良い作品に恵まれていくのでしょうね!
ちなみに最近知ったのですが、なんと「ブノワ マジメル」というバラの品種があるんです。もちろんブノワたんから取られた名前で、なんと作出者は日本の方。ブノワたん、自分の名前がバラにつけらているって知っているのかな…(白くてさわやかな香りがするそうです♪)。
(パズー)
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