2022.05.26

【スタッフコラム】わが職場の日常 byKANI-ZO

「あの頃バイクに跨って」

フィルム映写機を筆頭にメカニカルなものが大好きな私ですが、そのメカ好きの芽生えはバイクでした。

16歳になってすぐにバイトをして購入したのは当時流行っていたHONDAのエイプという50CCのミニバイクでした。小さいバイクですが初めての車体の重みに、自宅庭へ上げる階段で倒してしまいミラーを割っていきなり落ち込みました。走りだすと自転車とは違うエンジンのパワーに戦々恐々と運転していました。慣れてくると、風を感じながらまだ見ぬ遠くの世界へ行ける事が何より楽しくなりました。また、ひいきのバイク屋さんに入り浸り、心ときめくギミックに釘付けになりながら修理を見せてもらい、様々なバイクの特徴を教えてもらいました。バイク好きの中ではお馴染みの「技術のホンダ・芸術のヤマハ・漢のカワサキ・変態のスズキ」という日本四大バイクメーカーの特徴を捉えた呼び方も知りました。

続編公開が間近の『トップガン』のシリーズ一作目でトム・クルーズが跨るのは、漢のカワサキのGPZ900Rという大型バイク。当時の世界最速二輪であり、日本からやってきたそのクールな見た目から、海外ではNinjaと呼ばれ、今も不動の人気を誇るバイクです。サングラス姿で戦闘機と滑走路を並走するトム様に憧れた私は、夜中サングラスをかけて田舎道を走りました。ほどなく暗闇の田んぼに落ちて、夜のサングラスの危険さを学びました。

バイク映画のマスターピース『イージー・ライダー』では、ルート66をハーレーダビットソンで疾走するピーター・フォンダとデニスホッパーに憧れて、髭も生やしました。友人たちとバイクで列をなして走れば、劇中のお決まりソングが頭の中で流れます。

私の一番愛したバイクは、ワインレッドのYAMAHA-XJR400。ガソリンとオイルのあの匂い、跨ると身体に響くエンジンの鼓動とマフラーから流れるエキゾーストサウンド(排気音)…。懐かしき記憶が蘇ります。

そんな相棒と行った茨城から京都への往復1200キロの旅。深夜の鈴鹿の峠道は、トラックだらけで泣きながら走ったものです。到着した京都の友人宅では、あまりの疲労で一日中寝込んでしまいました。それでも、相棒がいたからこそ、走破できたのだと思います。しっかりとメンテナンスし、愛情を注げば相棒はその分応えてくれました。そして、跨る私に挑戦する勇気をくれました。

映写機を動かすと、同じようにオイルの匂いと駆動音、そして振動が五感を刺激します。ジャンルは違いますが、バイクと映写機は似ているなと初めて映写機に触れたときから思っていました。映写機も様々な映画を掛けることで、沢山の人を映画の世界へ誘い、心を動かしてくれます。バイクと映写機は、これからも私の愛するメカ達です。

(KANI-ZO)