2019.03.21

【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック

「エンドクレジットに思わぬ名前が」

早稲田松竹で働いていると、どうしても映画のエンドロールを観る機会が多くなります。するとクレジットの中に思いがけない名前を見つけて、「一体どういった関係が…」と思うことが多々あります。その中でも最も印象的だったのは、一昨年早稲田松竹で上映した『夜明け告げるルーのうた』のエンドクレジットの中に「オオルタイチ」という名前を見つけたことです。

オオルタイチさんの音楽に最初に出会ったのは、別のミュージシャン目当てで向かったライブに出演していたのを見たときです。彼のエネルギッシュでカラフルかつエキゾチックな音楽、パソコンの打ち込みを主体としながらも飛び跳ねるような圧倒的なパフォーマンスに度肝を抜かれ、即座にファンになってしまいました。そんな彼が湯浅政明監督のアニメにクレジットされているのを見つけたのです。その時、一つの線がつながった感覚になりました。近年ようやく観ることができた湯浅監督作『マインド・ゲーム』(2004)のクライマックスであるクジラからの脱出シーンのエネルギー感やハチャメチャさ。「この感覚、どこかで体験したような…」と思ったのです。オオルタイチさんの名前をみつけたとき、「マインド・ゲーム…湯浅監督…オオルタイチ…あっ!」と勝手に盛り上がり、もしかしたら影響関係があるのでは、と妄想が進みました。

思わぬ関係に驚き調べてみると、2013年の短編作『キックハート』の音楽をオオルタイチさんが担当していたそうです。不勉強ながら当時は全く知りませんでした。昔から知り合いだったんですね。また『夜明け告げる~』でクレジットされていたのは、自宅のパソコンで音楽を制作してる主人公カイの、自宅録音における機材や制作過程を取材したためだったようです。

さて、オオルタイチさんの『Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu’s Hearty Pi』というアルバムに収録されている「Futurelina」という曲のPVをYouTubeで観ることができます。こちらのアニメーションも個人的にはとても大好きです。映像と音楽が絶妙にマッチしたとき、二つの表現方法を超えた別の衝撃が生まれるのでは、と映像と音楽の密接な関係について様々と思いを巡らせてしまいます。

OORUTAICHI
『Cosmic Coco, Singing for a Billion Imu’s Hearty Pi』(2011)
「Futurelina」PV dir:鎌谷聡次郎

(ジャック)