2019.02.13

【スタッフコラム】シネマと生き物たち by ミ・ナミ

『ドラゴン・タトゥーの女 蜘蛛の巣を払う女』

30歳をとうに越えたせいか、最近はもう「映画を公開初日に観る」という熱気を持てなくなってきた私。しかし、そんな私を、久々に封切り日に劇場へと駆り立てた一本があります。今年の映画初めでもあったその映画とは、フェデ・アルバレス監督の『ドラゴン・タトゥーの女 蜘蛛の巣を払う女』でした。前作であるデヴィッド・フィンチャー監督版『ドラゴン・タトゥーの女』が心の底から大好きなので、監督およびキャストを総入れ替えした続編が完成したという報せに若干不安と期待が入り混じった複雑な気持ちでいましたが、むしろ見逃せないポイントがあったのです。

『ドラゴン・タトゥーの女 蜘蛛の巣を払う女』で私が驚かされたのは、映画の序盤、主人公リスベット・サランデルの自室が映されるシーンで、彼女が小さなトカゲ(自信が無いですが、おそらくフトアゴヒゲトカゲのベビー個体)を飼っているのです。私が抱いていたリスベットの人物像は、キレッキレの頭脳を持ち合わせていながら、幼少期のトラウマのために他者への共感力が皆無で、大変ぎこちないやり方でしか相手を愛することができない、マイルドに形容するならば“超変人”。そんな彼女が、生き物を飼っているなんて…! しかもこの後、何者かの奇襲により自宅が爆弾で吹き飛ばされるのですが、難を逃れたリスベットが真っ先に向かったのは、何とトカゲの水槽。危うく火災を免れたトカゲを助けて小さなタッパーに入れると、仕事仲間に「面倒をみて」と預けるのです。リスベット嬢、何気に可愛がってるじゃないの…! このシークエンス、生き物偏愛家にとってはかなり熱い気持ちになります。

一方で、リスベットがトカゲを飼っているというのは、自然で納得のいく設定でもあります。表情というものがあまりなくさほどスキンシップを求めてこない爬虫類と、ハードなルックスでポーカーフェイスなリスベットというキャラクターは、かなりマッチしています。顔だちも性格付けも前作とはがらりと変わりしましたが、彼女のこの新たな設定には、作り手も考えているところがあるなと感心したのでした。

(ミ・ナミ)