2025.01.02
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第35回「出会いの旅」
皆様、新年あけましておめでとうございます。気づけばこのコラムも35回目! 今年も暮らしにまつわるアレコレを私なりにお届けできたらと思います。
私はこれまで旅行とは縁遠い人間だったのですが、去年は様々な場所を訪れることが出来ました。そして、旅行の計画を立てる中で一番こだわりたいポイントが“ホテル”だという、新たな発見があった一年でもありました。熱海のホテルニューアカオ、北海道の札幌パークホテルなどなど、リニューアルされつつも建設当時の面影が残るホテルに泊まるのが楽しみでもあるのです。
さて、2024年の旅行の締めくくりに選んだホテルは箱根にある「箱根本箱」です。もともとは日本出版販売株式会社の保養所として建てられた施設。それをリノベーションし、本屋さんと宿泊施設(もちろん温泉もあります)を一体にした国内でも珍しい運営形態のホテルなのです。蔵書数は約1.2万冊! そこにあるすべての本が読み放題で、気に入ったらその場で購入も出来ちゃいます。
ホテルに到着し、さっそく何を読もうか本棚をチェックしていると、ずっと気になっていたタイトルが目に飛び込んできました。雑誌「暮しの手帖」の元編集長 松浦弥太郎さんの著書『場所はいつも旅先だった』という本です。松浦さんがご自身で監督された同名の映像作品もあり、観たいリストに入れていたのですが、せっかくなら本から入ってみようと手に取りました。
この本は、松浦さんが旅先で体験したことを赤裸々に綴ったエッセイ集。驚いたのは、松浦さんの旅は必ず一人で行き、現地で友達を作って帰るという、海外へ一度も行ったことのない私からしたらかなりハードルの高いもの…というかもはや冒険です。そこから生まれる現地の人たちとの交流、悲喜こもごもなストーリーはそれだけで映画が作れてしまうのでは? と思うほど。
時折、自分の旅行はどうだったか振り返りながら読んでいたのですが、“ホテルという旅先”の章に記された「旅とは本来の自分を取り戻すものだ」という松浦さんの言葉にハッとさせられました。観光名所やSNSで話題になったお店に行くのは楽しいけれど、ただ消費するだけで終わってしまっていないか? その場所の美しさや面白さを自分の目を通して発見できているか? と、問いかけられているような気持ちになったのです。
旅行先で旅にまつわる良質な本に出会い、2025年も始まったばかり。誰かと行く旅行も楽しいけれど、今年は大人の一人旅もしてみたいと思う、しかまる。なのでした。
(しかまる。)