2024.12.05
【スタッフコラム】馬場・オブ・ザ・デッド by牛
12月にも関わらず、日中は上着がいらないほど暖かい日が多いですね。この暖かさで12月というのが信じられないのですが、先日、早稲田通りでイルミネーションの飾りつけ作業が行われており、流石に年末の気配を感じざるを得ませんでした。今年もいよいよ終わってしまう…。この事実が一番のホラーな気がします。さて、今年もいろいろ恐怖映画を観てきましたが、黒沢清監督『Chime』『Cloud クラウド』や韓国ホラー『破墓/パミョ』などなど…お気に入りの作品は数々あるのですが、中でもひときわ異彩を放ち、強烈に印象に残っている作品があります。今回は2024年牛的ベスト恐怖映画『サユリ』(24)をご紹介します。
『サユリ』は押切蓮介先生の同名漫画を『貞子vs伽椰子』の白石晃士監督が実写化した作品です。郊外の一軒家に引っ越してきた中学生の主人公・則雄とその家族。広々とした夢のマイホームでの新生活に胸を躍らせていた矢先、家の中で家族が次々と怪死していき…。というお話です。突然ですが、わたし原作・押切先生の大ファンでして…。押切先生といえば、高田馬場駅前の老舗ゲームセンター「ミカド」の公式キャラクターデザインなど、近年ではゲームにまつわる作品の印象が強いかもしれませんが、私の中ではやはりホラー漫画の大先生なのです。というのも、押切作品の中ではあの恐ろしいオバケたちがなんと殴られたり蹴られたり…なぜだか可哀そうな目に遭っているのです! 幼い頃から人一倍オバケという存在に怯えていた私にとって、このオバケに対する扱いは衝撃的でした。(オバケが怖くて仕方がないからオバケを馬鹿にした漫画を描いている、ということを何かの巻末で読んだ気がします)。
さて、話を『サユリ』に戻しますが、家族の怪死の原因が家に取り憑く“サユリ”という悪霊だったということが判明し、結果的に則雄と祖母の2人以外サユリに全員呪い殺されてしまうという最悪の展開に…。普通のホラー映画なら、悲しみと恐怖に明け暮れるところでありますが、『サユリ』は違います。『サユリ』は押切作品の醍醐味・オバケに対する怒りのパワーが大健在。則雄と祖母は家族を皆殺しにされた怒りを正面からサユリにぶつけるのでありました。白石晃士監督らしく怖いパートはしっかり怖く、また怖いだけではないところも注目ポイント。どのようにサユリと対峙するかはぜひ本編をご覧いただきたいです。
最後になりますが、2024年も残りわずか。皆さま風邪などひかぬよう、よく食べよく寝て、映画の中の言葉を借りると「命を濃く」し、どうか暖かくされて日々お過ごしくださいね。
(牛)