2023.11.16
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
先日デパートのイベントスペースで、かわいいお菓子を見つけました。カラフルな筒状の紙製のボックスは一見するとお香のようですが、中に入っているのはさまざまな種類のビーンズチョコレートです。これはいったい何だろうと足を止める人々に混ざって、気がつけば私も真剣に選んでいました。
由布院の高級旅館「山荘 無量塔」が手掛ける「theomurata(テオムラタ)」は、厳選されたクーベルチュールと自然の恵みで作ったショコラが並ぶチョコレート専門店です。商品は先述のビーンズチョコレートのほか、漆器のようなパッケージに入っているコイン型のチョコレートもあります。気になるけど全部はとても買えないので、「イチジクとローズのショコラ」と、「ヘーゼルナッツショコラ」、それから「レモンショコラ」の3種類を選びました。どれもとてもおいしかったのですが、中でもヘーゼルナッツをミルクチョコレートでコーティングし粉糖で仕上げた「ヘーゼルナッツ」は気に入って、期間限定ショップの最終日にも買いに行ってしまいました。
ちょっと不思議な響きの「theomurata(テオムラタ)」という店名は、カカオ豆の学名「theobroma(テオブロマ)」から名付けられたそうです。ギリシャ語で「神の(theo) 食べ物(broma)」を意味するカカオは、その昔、アステカ、マヤの時代、通貨でもありました。カカオは神秘的な力を持つものとして大切にされましたが、カカオを利用できたのは王族や貴族などごく限られた特権階級の人たちだけでした。
日本に初めてチョコレートが伝わったのは江戸時代です。長崎の文献に「しょくらあと 六つ」という記述があり、これが記録に残された日本で最初のチョコレートだといわれています。大正時代に入り、森永製菓や明治製菓が創業、大量生産がはじまりましたが、一般庶民にとってチョコレートはまだまだ高級品でした。いまでは当たり前のように誰もが手軽に食べられるようになったチョコレート。長い歴史に思いをはせ、大切に味わいたいですね。
(ちゅんこ)