2017.06.01
【スタッフコラム】☆☆☆に憧れて byスタンド
こんにちは。スタンドです。以前、映画を観ている時に“登場人物の部屋に飾られていた絵が物語のテーマと関わりがある作品だった”という事がありました。私はそれに全く気付けず、その後解説で知った時になんだか悔しくて「こういう所に気付けるようになるぞ!」と時間を見つけては、マメに美術展に足を運ぶようになりました。
「気付ける人に憧れて」
パリの三大美術館と呼ばれるルーブル美術館、オルセー美術館、ポンピドゥー・センター。日本では何年かに一度、展覧会が開催され、多くの歴史的な作品を鑑賞する事ができます。実は、この3つの美術館、所有している作品が年代ごとで分かれているのです。原則としてルーブル美術館は、先史時代から19世紀まで、オルセー美術館は2月革命があった1848年
から第1次世界大戦が勃発した1914年まで、それ以降はポンピドゥー・センターの管轄なんだそうです(例外作品もあります)。
19世紀の後半から始まった印象派の作品を多数所蔵しているオルセー美術館。最近だと、2014年に大規模な展覧会がありました。その時、私は忘れられない画家と絵に出会うことができたのです。印象派の画家、ギュスターヴ・カイユボットの「鉋(かんな)をかける人々」です。
カイユボットの作品は写真的な構図の素晴らしさで有名なのですが、作品もさる事ながら、私はカイユボット自身の事を深く尊敬しています。家が裕福だった彼は、自身の絵の才能を磨きながらも、当時全く世間から相手にされていなかった印象派の仲間達の素晴らしい作品を全て購入していたそうです。彼は遺言に「死後は国に寄贈するように」と書き遺し、それを遺族が実行したそうなのですが、その当時もまだ印象派は認められておらず、3年もの月日が経ってから受け入れが決まったそうです。今、私達がモネやドガ、ルノワール達の絵を鑑賞できるのは彼が印象派の画家で、仲間達の才能に気付き、守っていたお陰かもしれません。
カイユボットがよく描いていたテーマは都会(パリ)の現代性。代表作のひとつである「ヨーロッパ橋」は行きかう街の人々を描いている中で、19世紀のフランスのブルジョワジーと労働者の階級格差の縮図を現しているともいわれています。そんなテーマの映画で、カイユボットの絵が飾られる日がいつかあったら「あの絵…!!」と誰よりも早く気付ける人になれるのにな、と理想の映画鑑賞を夢見る今日この頃でした。
(スタンド)