2017.07.06
【スタッフコラム】早稲田松竹・トロピカル・ダンディー byジャック
「ミュージシャンが監督する映画」
映画監督が自身で映画の音楽も制作するというパターンに、私は彼らの多才な一面を感じて驚くのですが、その逆でミュージシャンが映画を監督してみることには個人的にその数倍驚かされます。ベル・アンド・セバスチャンのフロントマン、スチュアート・マードック監督の『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』、トーキングヘッズのデヴィッド・バーン監督の『デヴィッド・バーンの トゥルー・ストーリー』、ニール・ヤング監督の『ヒューマン・ハイウェイ』など。彼らの映画はまるでライブのように、音楽のエネルギーとパフォーマンスが持つ肉体感が強くなっているように思います。このような映画の存在を知ってしまうと、「あの曲を作る人はどのような映画を作るのだろう」と果敢に他ジャンルに挑戦する彼らに、興味と不安が入り混じり、とても気になってしまうのです。
今、私がどうにも気になっているのはカナダ出身のミュージシャン、ルイス・フューレイという人物です。妙に惹きつけられる独自のセクシーさ、もの悲しさとユーモアがちりばめられた彼の楽曲を初めて聞いた時から、何度も聞き直すほどのお気に入りになっています。自身名義の3枚のアルバムを出した後は奥さんのカロル・ローレ(ジョン・ヒューストン監督の『勝利への脱出』などに出演!)の楽曲をプロデュースするなど、裏方に徹しているような印象を抱いていたのですが、改めて調べてみると映画も監督していたのです。これはやはり観てみたい! どうやら3本の映画を撮っているらしく、『ナイト・マジック/幻想夜曲』(1985)、『SHADOW DANCING/シャドー・ダンシング』(1988)、『Rats and Rabbits』(2000)というタイトルのようです。しかしDVD化されている様子はなく、VHSのレンタルなども私には見つけられませんでした。何か手はないものか…。
さて話は変わりまして、そのルイス・フューレイは2009年に来日し、二日間ライブを行っていたようです。当時は彼の名前すら知らなかったので、こうして後から情報を得てタイミングを逃してしまうというのは悔しいものです。しかもなんと開場は高田馬場のライブハウス! そしてその場所はかつて高田馬場パール座という名画座が営業していた場所なのです。なんだか自分に近いキーワードが急に飛び交い、妙な親近感を覚えてしまいました。
ルイス・フューレイ初期アルバム3作品
「Lewis Furey」(1975)
「The Humours Of」(1976)
「The Sky Is Falling」(1979)
(ジャック)