2023.10.26

【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん

前回に引き続き、へんてこコレクションでは、フランスでみつけたへんてこシリーズ第2弾をお届けしたいと思います!

パリでは、毎週末蚤の市が開催されています。私が訪れたのは、パリの南側、メトロのPorte de Vanves(ポルト・ドゥ・ヴァンヴ)駅裏で開かれているヴァンヴ蚤の市です。どんな場所なのだろう? と調べてみると、ここにはかつて城壁があり、税関用の門がありました。(ここをポルト・ドゥ・ヴァンヴ〈ヴァンヴ門〉というのもそのためです)。城壁の外側に建物を建てることが一切禁じられていたのですが、19世紀後半の“オスマンのパリ改造”でパリに住めなくなった人たちが、この場所にバラックを建てて住みつきます。そして拾い集めたものを売り始め、蚤の市が始まりました。現在、城壁は取り壊されてしまっていますが、人々の生活に蚤の市は欠かせない存在として残りました。

食器や衣類、カメラ、レコード、ドアの取っ手、家具。あらゆるものがひしめき合っていて、何時間でもいられそうな蚤の市。わたしもエプロンや小さなカバン、用途不明のとても開けづらい貝殻の小さなポーチなどを購入。他にも気になったのが、キラッキラの動物や昆虫をモチーフにしたブローチ、おっちゃんの顔が彫られた木製のくるみ割り、閉店したお店から大量に引き取られた小鳥型のポーチなどなど…。へんてこグッズが目白押しでしたが、その中でもひときわへんてこ心をくすぐられたのが、フェーヴ(Fève)と呼ばれる小さな陶器。フランスの有名なお菓子、ガレット・デ・ロワ(Galette des rois)の中に入っているこの小物たちは、動物や人などが形作られています。その顔の表情がなかなかの趣がありまして、おそらく一つ一つ手書きで描かれている目と眉毛が、絶妙な簡略さをもってわたしを魅了するのです! この表情をみんなに見てもらいたいと思い、早稲田松竹スタッフのお土産として購入しました。

蚤の市を堪能したあとは、フレンチ・カンカンでお馴染みのモンマルトルの丘へ。観光地というのもあって、行くまでの道のりには多くの観光客が。清水寺じゃん、と思わず口走りながらかなり急な坂を見上げると、あれ? この雰囲気見たことあるかも…? なんと、私の大好きな映画の一つでもある『セリーヌとジュリーは舟でゆく』でセリーヌとジュリーが追いかけっこしているシーンの近くにいたのです! 降りるときに撮影現場まで行こうと思ったのですが、丘からパリを一望したら達成感に満ち溢れてしまい、すっかり忘れてしまいました。丘の上のフェンスには、永遠の愛を誓って掛ける愛の南京錠がかかっているのですが、どうやら撤去される予定みたいです。撤去の理由についてパリ18区は「公共物を劣化させ、危険が伴う」と説明しつつ、前置きには「まず哲学的に愛とは鎖で縛るものではない」とのこと。日本でこんな前置きは見たことがないですね。撤去作業は2023年から始まっており、パリ五輪前までには終了する予定だそうなので、見たい方はお早めに!

マルセイユ国際映画祭のためにフランスへ来たのに、それまでに訪れたところの面白さに酔いしれてしまい、また書けませんでした。ついに次回は(誰も待っていないかもしれませんが)マルセイユで過ごしたへんてこ体験をお届けしたいと思います!

(すみちゃん)