2023.08.24
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
少し前に、ある中国ドラマにはまっていました。『月に咲く花の如く』というそのドラマは、清朝末期、中国が大きく変化していこうとする激動の時代を生きた実在の女商人をモデルにしています。大道芸や詐欺で稼ぎながら生きてきたヒロインの周瑩(しゅうえい)がたぐい稀な商才と行動力で没落した大商家を立て直すという物語なのですが、魅力あふれる登場人物たちとストーリー展開にすっかり夢中になってしまいました。
以前コラムで書いた『羅小黒戦記』のときもそうでしたが、食いしん坊の私は映画や小説などに出てくる食事のシーンが好きで、ついつい見入ってしまいます。今回私が気になったのは、主人公・周瑩の好物である「なつめ餅」と、「瓜子(クアズ)」。瓜子とは、スイカやカボチャ、ひまわりの種などを炒って塩などで味付けしたもののことを言います。ドラマの中で周瑩はそれらの食べ物を口に含み、残った殻などをそのまま床にペッと吐き出すのですが、行儀悪くもなんだか楽しそうで、いったいどんな味がするのだろうと気になってしまいました。調べてみたら、中国で定番のお菓子「洽洽香瓜子(ひまわりの種)」が輸入食品を扱うお店やオンラインショップで買えることがわかりました。プレーン味やキャラメル味、さらにはココナッツ味などがある中で、私が選んだのは一番人気の五香粉味です。五香粉の五とは「多い」「複雑」などの意味で、メーカーによって使用するスパイスは異なりますが、一般的には八角、丁香(チョウジ、クローブ)、肉桂(カシア)、花椒、小茴香(ウイキョウ、フェンネル)のことを言います。はじめて食べた「洽洽香瓜子」は、殻にもほんのり味がついていて後を引くおいしさです。口の中で殻と実を分離させるのは案外難しく、あれ、どっちが実だろう? と迷ってしまうこともしばしばでしたが、練習して周瑩のように上手に食べるコツを身に着けたいです。
(ちゅんこ)