2020.01.29

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:大寒(たいかん)、次候:水沢腹堅(さわみずこおりつめる)

一年のうちでも最も寒い時期になりましたね。この時期になると気温によって池の表面や、水の流れている沢も凍ります。もっと寒い場所では滝が凍ることもあるらしいのですが、見たことある方もいらっしゃるでしょうか。大量の水が凍る「氷瀑(ひょうばく)」と呼ばれるこの現象。一瞬にして時を止めたような姿はまるで自然が生んだ芸術、氷の彫刻のようだと言われ、ライトアップされて多くの観光客を集めているところもあるそうです。しかし今年は暖冬で関東から行ける範囲はなかなか氷瀑ができないのだとか。この暖冬で最近熊が冬眠できずに人里をうろついているというニュースを聞きました。熊は大型の哺乳類ですから、蛇やトカゲなどの変温動物(体温がすごく下がり全く動かない)や他の小型哺乳類(たまに起きる)の冬眠と違って、体温をわずかに下げて代謝・摂食を減らして起きたり眠ったりを繰り返す「冬ごもり」をします。しかし、メスの熊は冬ごもり中に出産することもあるらしくこれには驚きました。基本的には飲まず食わずで秋に蓄えた栄養だけで出産し、子供たちに穴の中で乳をあげて春を迎えるのです。そのため出産して冬ごもりを終えた母熊はすごく痩せてしまうのだとか。世界中で神話や信仰の対象になっている熊の、しかもその献身的な子育ての姿は「母性」の象徴として語られることがとても多いのです。

氷が張る、張らないという話をしているとすぐに思い出すのが、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の『デカローグ』です。旧約聖書の十戒になぞらえられて全10話のテレビシリーズとして作られ、名匠であるキェシロフスキ作品の中でも傑出の評価を得ています。<第1話 ある運命に関する物語>は二人で暮らす父と息子の話です。神を信じない徹底した合理主義者である父クリストフが、息子にクリスマスプレゼントのスケート靴を買います。気象庁から手に入れたデータを元に、池に張った氷の厚さをコンピューターで計算してスケートをする許可を下したクリストフでしたが、氷が割れて息子が溺れてしまうのです。十戒の一つめの約束「わたしのほかに神があってはならない」。原因や理由を辿ろうとすればするほど迷路に入ってしまうような不条理な現実と信仰についての挿話が、人間という存在の無力さや寄る辺なさを強烈に感じさせます。久しぶりに見たいなぁ。

(上田)