2018.02.15

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:立春(りっしゅん)、末候:魚氷上(うおこおりをいずる)

春らしい気候になってきましたね。5日ほど前に雨が降りましたが、雨が降っていても暖かく、匂いたつような空気のなかに立っていると改めて春が来たんだなと感じました。季節の変わり目になると風邪もひきやすいですし、身体がだるい、イライラするなど不定愁訴(ふていしゅうそ)を訴える人が多くなります。それは秋から冬へ変わる頃などとは違って、春先には身体が目覚めようとするので、自律神経がなかなか休んでくれないからだそうです。

この頃妙に元気だな、という人も多いかもしれませんが、寝不足になりやすく生活習慣も乱れるので、無理をすると昼夜の温度差などで体力を奪われて体調不良に陥りやすくなるのだそうですよ。春を感じて、わくわくそわそわするような感覚は何歳になっても変わらないものですね。しかし自分たちに起きるこういった変化も、数年しか生きることのない植物や動物にとっては、一世一代のビッグイベントなのですから、春がにぎやかなのも納得です。

「魚氷上(うおこおりをいずる)」は氷の下を泳いでいた魚たちが氷がとけて、水面を飛んだり跳ねたりする頃の気候を言います。氷に穴を開けて糸を垂らす独特の釣りの仕方が有名な「わかさぎ」なんかは秋に蓄えた脂がちょうどおちてくる春先が旬だと言われています。春の代表的な魚であるニシンやメバルなどは、春に産卵するために浅瀬に上がってくるので「春告魚」と呼ばれているんだとか。

わたしは身欠きニシンが大好きなんですが、それを加工した会津地方の「ニシンの山椒漬け」が大好物なんです。でもなんで山しかない会津地方でニシンが郷土料理なのかと不思議に思って調べたことがあります。なんでも江戸時代に会津地方では厳しい冬を乗り越えるためのタンパク源の確保が重要で、保存食の身欠きニシンが重宝されていたそうです。北海道で水揚げされたニシンは新潟を経由して、阿賀野川をさかのぼって会津に運ばれたそうです。そこでちょうど五月ごろに新芽が出る山椒を使ってニシンの山椒漬けが生み出されたのですって。随分長い旅を経てできるんですね。

ニシンと言えば、わたしの一番最初の記憶は『魔女の宅急便』で主人公のキキが運ぶ「ニシンのパイ」でした。魚のパイ? 想像しただけで美味しくなさそうだったので、嫌いだと言う女の子に妙に共感したのを思い出します。

(上田)