2022.09.15
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:白露(はくろ)、次候:鶺鴒鳴(せきれいなく)
朝夕もだいぶ涼しくなりましたね。この時期の節気「白露(はくろ)」はこうしてだんだんと涼しくなり、夜の間に大気が冷え込んで、草花に朝露が宿ることから名づけられました。草花がまとった白く輝く露の輝く姿に、澄んだ秋の気配を感じます。秋のイメージに「白」の色が用いられるのは、もともと中国の五行思想(火・水・木・金・土で万物の元素を表す)で白が秋に配されることから来ており、また素が白を表すことから素秋(そしゅう)とも言われるそうです。ちなみに五行思想では四季の変化は五行の推移で起こるとされ、春は青(木)、夏は朱(火)、秋は白(金)、冬は黒(水)とされています。秋といえば黄落した木の葉や紅葉など赤や黄、茶色のイメージが強いですが、「白」や「金」だと言われてみると、稲穂が日に照らされる様子や澄んだ空など光に関連しているのだと想像することができます。日の高さも夏より低くなって、水面などの反射物にも反射しやすく、輝いてみえやすくなります。そういえば普段通っているところが光が変わって急に心を打つ風景になるのも秋が多い気がしますよね。
真夏はあまり野鳥観察に向かないらしいのですが、これから秋が深まるにつれて、だんだんと野鳥が見やすい季節になると言われています。日本から渡っていく夏鳥とこれからやってくる鳥たちが行き交うのですから、秋・冬の季語に鳥が多いのも納得です。72候の一つになっている 鶺鴒(セキレイ)はつがいになると伴侶が死ぬまで連れ添うことが多いと言われる野鳥で、日本書紀には日本神話の国産みの伝承にも登場し、イザナギとイザナミの二柱の神は国産みの方法をセキレイから教わったとされているのだとか。日本からしてみると、セキレイ先生ということですね。結婚披露宴会場の壁にセキレイが描かれたり、婚礼の調度に鶺鴒台があるのは、それに由来するのだといいます。しかし、国産みの物語に出てきたセキレイは日本でよく見られる三種の中でも日本固有種のセグロセキレイだと推測されているらしいのですが、西日本を中心に日本らしい自然の多いところに生息するセグロセキレイは昔より生息分布が狭くなってきているらしいです。その黒と白のツートーンで外国人バードウォッチャーからも人気の高い種類なのですが、身近に見られないのは少し寂しいですね。セキレイ先生。
(上田)