2022.06.16

【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。

第23回「服を愛する人」

私は物欲が増すと好きなブランドの新作をチェックしたり、どうしても欲しかった服がフリマサイトに出品されていないかと探したりしてしまいます。そんなとき、なんで今持っている服を大事に着てあげられないの…? ともう一人の自分がささやくのですが、そんなのお構いなしに気になった商品をネットショッピングの買い物かごに入れては満足するなんて中毒もいいところですよね。今回はそんな私に一着一着を大切にする心を思い出させてくれた作品『繕い裁つ人』(2015)をご紹介します。

町の仕立屋と常連客たちとの織りなす日々を描いた池辺葵の同名人気コミックを三島有紀子監督が実写映画化。“頑固じじい”といわれるほど職人気質でストイックな仕事ぶりの反面、洋裁以外のことはてんで駄目な主人公の南市江を中谷美紀さんが魅力的に演じています。

先代の祖母が作った服のお直しと、そのパターンでしか新しい服を作らない市江。そんな彼女の内に秘められた願望を見抜き、オリジナルデザインの服をなんとしても作らせたい百貨店の社員藤井。そんなふたりの関係が町の人々の服にまつわる思いに触れることで少しずつ変化していきます。

映画の序盤、高校生のゆきが母親の着ていたワンピースを直してほしいと店にやって来ます。背が低い自分でも着られるようにという、ゆきのオーダーを聞き迷いなくジョキジョキとワンピースにハサミを入れていく市江。その作業を見ていた藤井と同じように、私も市江の潔い手さばきにあっけに取られてしまいました。その後、藤井は偶然町で完成したワンピースを着ているゆきをみかけるのですが、市江の服に宿る人を輝かせる魔法を目の当たりにし、ますます惚れこんでしまうのです。

この作品で服を愛する人たちの思いに触れて、私が学生の時も母や姉のおさがりや古着屋で安く買った服をリメイクして着るなど工夫して楽しんでいた頃のことを思い出しました。自分が欲しいと思ったものがすぐ買えるようになった今では、その服に飽きたら売ってしまうのが当たり前になり、一着一着の服への愛情が薄れてしまっているような気がします。

さて、自分でリメイクできるならそれに越したことはないのですが、やはりプロの手も借りたい! ということで、さっそく調べてみると近所に裾や丈を直すだけでなくリメイクもしてくれるお店を発見。クローゼットに眠っている服たちを持っていこうと決心した、しかまる。なのでした。

(しかまる。)