2017.10.05
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
中秋の名月と映画祭
二十四節気:秋分(しゅうぶん)、末候:水始涸(みずはじめてかるる)
そろそろ衣更えも済んだ頃でしょうか。秋分も過ぎると、一気に日が短くなって、気温も落ちてきますね。ちょうど中秋の名月と呼ばれる月が昨日の夜(4日)でしたが、これは満月ではないそうです。たまにこういうことがあるのですが月の公転の軌道が楕円形なので、わずかに地球に近づくことで、多少見え方がずれるんだそうです。ちなみに満月は明日6日なので、この時期の満月を見たい方は晴れたらこちらを見てみてもいいかもしれませんね。それでも中秋の名月とは呼びませんが、きっとこちらも綺麗なはずです。
水始涸とは金木犀が香り、稲穂が十分に実った収穫の季節、田んぼの水を抜いて(落とし水)、土や稲を乾かす時期のことを言います。この稲刈りの前後に豊作を祝う収穫祭などがあるので、秋祭りも今ぐらいが一番多いですね。祭りといえば、日本は秋頃に映画祭が多く開催されています。開催中の山形国際ドキュメンタリー映画祭に、10月末の東京国際映画祭、11月には東京フィルメックスがあります。映画祭には上映する規定があって、メインのコンペティションなどではワールドプレミア(世界ではじめて上映される)が条件のものもあります。公開されるよりももっと早い一番鮮度のいい状態の、まだ評価の定まっていない作品を見ることは映画の体験として、とても純粋だなと思います。
一方で、2013年の第26回東京国際映画祭「アジアの風」部門に、早稲田松竹の元スタッフ(蔦哲一朗監督)と一緒に製作した映画『祖谷物語―おくのひと―』が招待されることになったとき(その後2015年2/18~3/6まで『ほとりの朔子』と当館にて上映 ※1)に感じたのは、観客が映画を見たそのときに、初めて「映画になった」という感じでした。映画も見る人がいないと映画にならないんだなと実感できた映画祭はとても思い出深いです。もしまだ映画祭に行ったことのない人がいたら、出会いを期待して世界中から映画を見にやって来る人たちに紛れて、是非普段とは違う映画の興奮を味わってみてはいかがでしょうか。
※1『ほとりの朔子』『祖谷物語―おくのひと―』当館作品ページはこちら↓
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2015/sakuko-iya.html
(上田)