2021.07.01

【スタッフコラム】わが職場の日常 by KANI-ZO

「試写日記とKANI-ZO」

昨年末より、早稲田松竹のツイッターにて「#早稲田松竹試写日記」を始めました。映写スタッフの担当者が試写を行った際の、率直な作品への感想や、映写にまつわるテクニカルな話をつぶやいています。なかなか日の目を見ない映写ですが、ツイッターの“いいね”を通じてお客さまとのつながりを感じています。また、それが日々の仕事の活力にもなっています。

担当する作品が、フィルム撮影なのかデジタル撮影なのかに始まり、古い作品ならばどのような技術的時代背景で、音声や画角が採用されているのかを調べたりしています。それを元に映写プランを考えます。最近ですと『カメラを持った男』の特殊な画角は、映写スタッフで謎解きのように、話し合いました。調査を重ねることで「なるほど。だからこの画角なのか!」といった新しい発見があったのです。(詳しくはこちらのツイートより→https://twitter.com/wasedashochiku/status/1370696628047253508

このような発見を「#早稲田松竹試写日記」として発信することで、皆さまにも映画を見る際の隠し味として楽しんでもらえると幸いです。

私自身、映写をし始めて10年が経ちました。当時、早稲田松竹には35mmフィルム映写機が2台。初めて触った時、見た目がメカニカルでカッコいいなという印象を持つことしかできないくらい、何も知識がありませんでした。先輩に一からフィルム映写とは何かを教わり、徐々にこの仕事の奥深さを知りました。そして、2013年にデジタル映写機を導入。今では様々な素材の映画を上映できるようになり、以前の映写とは、随分と様変わりしました。

沢山の作品を扱うようになり、この映画はなぜこのような画角なのだろう? どうやって上映するのが正解なのだろう? と疑問が数多と出てくるようになりました。そこで、さらなる知識を求めて、映写ワークショップなどで外部の人と交流を持つようになりました。その甲斐もあって、少しずつ疑問が解決され、早稲田松竹の映写にフィードバックできるようになっていきました。一歩踏み込むことで、映写がさらに面白くなりました。

時代は変化し、35mmフィルム映写機が無い映画館も増えています。フィルム映写機の部品は、現在製造終了しているため、現役を引退した映写機たちの部品を使っています。早稲田松竹の映写機は彼らの記憶も乗せて、いまも元気に稼働しています。私もそんな彼らと共に、これからもトライし続けたいと思う今日この頃です。また、そんな姿をこれからも日記に積み重ねていけたらと思います。

(KANI-ZO)