2021.04.28

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:穀雨(こくう)、初候:葭始生 (あしはじめてしょうず)

春も終わりに近づき、夏を告げる雨が降り出す頃ですね。たっぷりと湿気を含んだこの時期の雨で潤った田畑は種まきに絶好の時期を迎えます。作物にはとても大事な雨ですが、湿気を多く含んだ空気は、人によってはむくんだりだるくなったりと体調を崩しやすくもあり、これが五月病にも関係あるんだとか。この時期に水辺でぐんぐんと成長する葦(あし)は一般的には「ヨシ」と呼ばれる植物です。葦(あし)は日本では「悪し」を連想させる「忌み言葉」であることから「ヨシ」と呼ばれることが多いそうですが、一方でこれには諸説あり、中国の本草綱目では《もと成熟したものを「葦」(ヨシ)、穂がすっかり出そろわないものを「蘆」(アシ)、穂の出ていないものを「葭」(カ)と書き分けた。…》 ともあります。夏になると窓の中にぶら下げる簾(すだれ)や、窓の外にたてかける葦簀(よしず)の材料としてもなじみがありますが、日本書紀や古事記では「豊葦原瑞穂国」(とよあしはらのみずほのくに)という初代天皇の天武天皇統治以前の日本の美称として記載があるほど日本人には関係の深い植物でもあります。

「あしはら」というのは、一面にヨシが群生している場所を言いますが、水辺に生えるこのヨシが群生しているということは、その場所には(過去に廃棄された水田である場合もありますが)水で流されてきた土砂など大地の養分をたくさん含んだ肥沃な土壌があり、水害の際には水が来る場所でもあるそうです。大雨による洪水は多くの災害をもたらしますが、ダムの建設などで洪水が減った一方でこうした土砂が運ばれずに、土地の栄養がなくなってしまうこともあるんだとか。逆に古代文明の発生した場所ではこうした河川の氾濫による沖積土を利用した氾濫農耕なるものもあるそうです。「人間とは考える葦である」という哲学者でもあり数学者のパスカルの言葉では、弱く折れやすいが柔軟である葦の特性が反映されていますが、まさにこうした氾濫農耕なんて人間らしいと思います。災害や伝染病で悩まされることが続き、嫌なことも多いですが、逆境を糧になんとか人間らしく伸びていきたいものですね。

(上田)