2021.01.14
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第16回『モノと人のちょうどいい関係』
去年の末に大掃除をしようと考えていたのですが、すっかりやる気がしぼんでしまい、新年明けた現在も手付かずでいる、しかまる。です。一人暮らしを始めた頃は必要最低限のモノしかなかった自分の部屋も2年たった今ではだんだんモノが多くなってきて、なんだか窮屈に感じます。そろそろ重い腰を上げなければと思っていたところ、ある映画と出会いました。それは『365日のシンプルライフ』(2013)というドキュメンタリーです。
この映画の主人公で監督も務めたペトリ・ルーッカイネンは、彼女に振られた反動でヤケ買いを繰り返し、家がモノだらけに。部屋はモノで溢れているけど心は空っぽなことに気づいた彼は、倉庫を借り、持ち物をすべて預けます。そして、「1日1個取り出せる」「1年間続ける」「1年間何も買わない」というルールのもと実験を始め、その1年間の生活を記録していくのです。彼が自分の人生にとって本当に大切なものは
何かを発見していく過程を観ているうちに、私ならどうするか、つい考えてしまいます。
今現在なくても困らないものを挙げるとしたら、私が真っ先に思いつくのは「電子レンジ」です。引っ越し祝いとして父に買ってもらったのですが、1年前に壊れてしまい、修理もできずに冷蔵庫の上で鎮座しています。壊れた当初はすぐに新しいのを買おう! と思ったのですが、様々な調理ができるスペックが高いのを買うべきか、それとも壊れた時のショックが少なくて済むように温める機能だけの安いのにするか、あれこれ思いあぐねているうちに、電子レンジがない生活にすっかり慣れてしまいました。というのも、冷凍したものは時間がかかるけれど自然解凍をすれば良いし、料理が冷めてしまってもフライパンで温めなおせば済んでしまうことに気づいたのです。
便利だと思っていたモノも、壊れてしまったらただのガラクタです。こうしてモノに振り回される様は、映画のなかでもしっかり映されています。ペトリがせっかく倉庫から取り出した洗濯機は水道管から水が漏れて使えなくなり、またある時は新しくできた彼女の冷蔵庫が壊れてしまい、新品を買うより高い金額を払って修理するか、ルールを破って新しい冷蔵庫を彼女に買ってあげるか、普通の人ならすぐに決断でき
るところを彼はかなり時間をかけて悩みます。この葛藤の結末はぜひ映画でご確認ください。
さて、電子レンジを失った私ですが、逆に買って良かったと思えるものもあります。それは、「ミルクパン」です。家には汁物を作る大きな鍋しかなかったので、コップ一杯分の牛乳を温めるのが難しかったのですが、この子のおかげで今は寒い冬に温かいココアが飲める幸せを噛み締めております。何かを失うことで新たに得られる幸せを発見した、しかまる。なのでした(今年こそ、電子レンジを粗大ごみに出したいと
思います)。
(しかまる。)