2024.12.12
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石) byちゅんこ
中国では冬の風物詩ともいわれる定番のお菓子「タンフール(糖葫芦)」。“砂糖をまとったヒョウタン”という意味からきたタンフールは、一見すると長い串に小さなリンゴがいくつも突き刺さっているようですが、刺さっているのはリンゴではなく、サンザシ(山査子)です。日本ではあまり見ることのないサンザシは、バラ科サンザシ属の落葉低木。秋に赤く色づくサンザシの実は栄養価が高く、健康や美容に優れた効果があります。タンフールの歴史は古く、1127〜1279年の南宋時代、京津地方が発祥といわれています。
当時の皇帝・光宗の寵姫であった黄貴妃が体調を崩してしまったときに、医者の薦めでサンザシ飴を食べたところ、たった数日で病気が治ってしまったそうです。このことがきっかけとなり、広く知られるようになったといわれています。私がタンフールを知ったのは、ここ1、2年前から見るようになった中国ドラマの影響です。その中でも、特に古装ドラマといわれる時代劇を見ていると、必ずといっていいほどタンフールが出てきます。藁にタンフールの串をたくさん刺して歩くタンフール売りの姿や、主人公たちがつやつやと輝く真っ赤なサンザシの実をおいしそうに食べていたりするシーンがあって、見るたびにいったいどんな味がするのだろうと気になっていました。
フルーツ飴がおいしいのは想像できるけれど、どうせならやっぱりサンザシを使ったタンフールが食べたいと思い、通販で取り寄せてみました。クール便で届いたタンフールを冷蔵庫で解凍し、さっそく食べようと封を切ると、サンザシの実が4つ串に刺さっていました。タンフールはオブラートに包まれていましたが、残念ながら飴が完全に溶けてドロドロになってしまっていました。酸っぱいサンザシの実に、飴の甘さがおいしいけれど、求めていたのとは何かが違う…。調べてみると、一度冷凍したタンフールを全解凍すると、飴が溶けてしまうのだそうです。この飴がパリパリだったら、きっともっとおいしかったはず…。いつかスーパーなどで生のサンザシを見つけたら、タンフールを家で作ってみたいと思います。
(ちゅんこ)