2024.01.04
【スタッフコラム】へんてこコレクション byすみちゃん
新年が明けましたね。早稲田松竹は年中無休なので年を越した感覚がありませんが、今年もまた様々な映画を皆様にお届けできることを楽しみにしております。2024年もどうぞよろしくお願いいたします! 年始とは全く関係ない内容になってしまうのですが、前回に引き続き、へんてこコレクションでは、フランスでみつけたへんてこシリーズ第3弾をお届けしたいと思います!
2023年のフランスでの旅の目的であった、映画祭のためにパリからマルセイユへ長距離列車に乗って向かいます。マルセイユに着いて最初に目に入るのが、建物に描かれたグラフィティ! 鮮やかで、大胆で、へんてこで、すぐさま目を奪われました。グラフィティアートと言えば、ニューヨークやベルリン、パリなどが思い出されるかもしれませんが、マルセイユの中心部はパリより小さく、グラフィティの密度はパリをしのぐ勢いです。マルセイユは、フランス第二の都市で、地中海を挟んでアフリカ大陸と向かい合う北アフリカの玄関口でもあります。それゆえにフランス最大の移民都市でもあり、イタリアやアフリカ、中東など近隣諸国からの移民が多く住んでいます。また、地中海最大の貿易港でもあり、石油化学と鉄鋼を中心とした工業都市でもあります。
2023年のマルセイユ国際映画祭は7/4~9に開催され、わたしは最初の2日間のみ参加しました。映画館好きのわたしとしては、会場となる映画館に興味津々です。最初にわたしが参加した映画の上映があったのは「LA BALEINE」という映画館で、入口が飲食店になっており、奥へ進むと映画館になっています。この会場で印象に残ったのは、トイレでございます。え? そこ?と思われるかもしれませんが、さすがグラフィティアートの街! と思わせてくれるようなデザインで壁一面が覆われていました。
そしてわたしが最も印象に残ったのは「Videodrome 2」という映画館です。映画館に掲げられている劇場名のロゴがなんともスタイリッシュで目を引きます。中に入ると、奥にバーカウンターがあり、手前にはイスや机があるので上映後にちょっと一杯お酒を飲もうかな?という気持ちになれそうです。劇場は49席とこじんまりとした作りではあるものの、そこがまたミニシアター好きにはたまりません。6,000本以上の映画をレンタルできるビデオクラブという一面もあり、映画好きが集う場所にもなっています。今回の映画祭で観た映画で印象に残った作品もここで観た映画でした。
『ARTISTES EN ZONE TROUBLÉS』という、Stéphane Gérard(ステファン・ジェラール)監督と、LionelSoukaz(リオネル・スカズ)監督との共同監督作品で、リオネル・スカズ監督の最愛のパートナーであったHervé Couergou(エルヴェ・クエルグー)へのオマージュでもあり、1990年代のエイズ時代を生き抜く困難さも記録されている作品です。英語があまり分からないわたしにも、リオネル監督がエルヴェの死の可能性を考え、記録することで彼と共に生きたという時間を永遠のものしようという気持ちが伝わってきました。リオネル・スカズ監督作品である『iXe』をオールタイムベストに挙げている、当館でも上映した『ナイフ・プラス・ハート』のヤン・ゴンザレス監督に、ななんとわたしは映画祭で遭遇!ちょうど映画祭が終わった後の7月に上映をする予定だったので、早稲田松竹で上映しますよ! と食い気味に挨拶をしたのですが、とてもやさしくにこやかに「ありがとう。」と受け止めてくれました。
映画祭では作品との出会いもありますが、はじめての映画館を体感し、映画監督との交流もできる大切な2日間となりました。今後もまた映画祭に参加した際には、みなさんにお伝えできたらと思います!
(すみちゃん)