2023.07.27
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:大暑(たいしょ)次候:土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)
暑さが本格的になってきましたね。梅雨明け頃から立秋の頃までの時期を大暑と言い、夏の土用もこの時期に含まれます。長雨で湿気を大量に含んだ大地が強い日光に照らされて、むせ返るような熱気とともに湿度が上昇してくるこの時期のことを土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)と言いますが、文字を読んでいるだけで暑さを感じますね。昼はまだしも夕方頃からねっとりとまとわりつくように湿度が上がり、夜最も寝苦しいのもこの頃です。普段ほとんど使うことはありませんが、この蒸し暑さのことを「溽暑(じょくしょ)」と言うそうです。草の茂みから生ずる、むっと熱気が感じられる「草いきれ」なんて都内で暮らしているとあまり触れ合うこともありませんが、子どもの頃に嗅いだことのあるあの特有の匂いを思い出します。日射が強く、風速が弱いときは、葉温が気温より5℃以上も高くなっているらしく、昔の旅人にとっては最も嫌われたのだそうです。
しかし暑いばかりが夏ではありません。「涼しさ」という言葉もまた夏の季語とされており、寒い時期には温度の低いことを「涼しい」と言わないように、涼しさを感じることができるのもまた夏特有のものなのです。様々な工夫をして涼しさを求めて、日差しを遮ったり、風通しをよくしたりすることを「涼をとる」という言い方をしますが、私はこの言い方が大好きです。打ち水をして、よく冷やした西瓜を食べる。風鈴の音や夜の虫の声に耳を傾けてリラックスする。夏特有のものに涼しさやその情感を求めて、楽しんでしまうのはなんとも「涼をとる」のが上手だなと思います。飲み物のCMなどでも、そうした感覚を引き立てて私たちを夏の涼しさへと誘い込みます。暑いのは嫌だけど、暑さがなければ涼しさもない。やっぱり良いですよね。夏のラムネ、コーラ、ビールと枝豆、トマト、冷房の効いた映画館。
(上田)