2018.06.21
【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田
二十四節気:夏至(げし)、初候:乃東枯(なつかれくさかるる)
本日6月21日木曜日は夏至です。北半球では日中が最も長くて、夜が最も短いと言われます。梅雨も明けていなければ夏という感じもそこまで強くはありませんが、暦の上では夏のど真ん中です。太陽はこの日最も北によって、高緯度で北極点に近づくほど太陽が沈まない白夜となります。その反対で、この時期の南極点では太陽の見られない極夜が訪れるそうです。
フィンランドには映画監督のアキ・カウリスマキらが1986年に始めた「ミッドナイトサン・フィルムフェスティバル」(白夜映画祭)というものがあります。この映画祭は現在も続いており、今年も6月17日まで開催されて2万8000人もの観客が訪れたそうです。映画祭ではフィンランドの新進作家の作品からヨーロッパの名作古典映画のみならず、実験的な映画や、新たに今観られるべき映画が意識的にラインナップされており、まだ見ぬ映画への興味を掻き立ててくれます。夏至は日本では季節感があまりないせいか、イベント感はありませんが日本以外ではお祭りの時期にあたることが多いそうですよ。
そんな季節感のない夏至を詠んだ句として有名なものに「夏至今日と思ひつつ書を閉ぢにけり 高浜虚子」があります。夏至だからと言って特にすることもないけど、読んでいた本を閉じて、外にでも出かけるのでしょうか、なにかじっとしていられないような心持ちが詠まれています。長雨も終盤に差し掛かるとどうにもじっとられない気持ちになってきますね。
ちょっと文字数も余っているので、もう一句紹介します。「地下鉄にかすかな峠ありて夏至 正木ゆう子」これも有名な句ですが、さっきの句とは違い、都市部の地下空間のような、自然の感じられないようなところにあるわずかな起伏を感じて、その列車の運行のなだらかな変化の奥に夏至という太陽の運行を重ね合わせて詠んだ句です。とても鋭敏な感覚とセンスが光るかっこいい句ですね。夏至には白夜や極夜があるように、人間が自然に感じられる季節感よりも、宇宙的というか、ちょっと超常的なものがあるのかもしれません。一度は見てみたいな、ミッドナイトサン。
(上田)