2018.12.06
【スタッフコラム】わたしのランチ byもっさ
おそば屋さんでオムライス?
このところ、私は“ランチの駆け込み寺的お店”にはまっています。なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、意外と少ないんです、日曜営業&平日15時以降もランチ営業しているお店って! 休憩時間が微妙な時間帯のことが多く、下調べをしないことをモットーとしている(単に面倒くさがりの)私は、彷徨い歩いた結果、失敗することもしばしば。そんな行き場をなくした私を温かく迎え入れてくれたのが、今回ご紹介するお店、そば処「寿々木家」です。
佇まいからして昔ながらの街のおそば屋さん「寿々木家」は、特にランチタイムを設けておらず、11時~21時まで同じメニュー・価格です。店頭のガラス張りの棚には、たくさんのサンプルメニューが置かれています。どれもこれも魅力的ですが、一番に私の心をとらえたのは「きしめん」でした。三角の油揚げにかまぼこがちょこんとお座り、大胆に振りかけられた鰹節の香りが食欲をそそります。そば以外にも沢山のメニューがありますが、私は一度気に入ったものがあると余所見をしない性分でして、きしめんばかり食べていました。あの不思議な光景を目にするまでは…!
ある日、お店に入ると、常連らしき3人組のおばさまのうち2人が、まるで漫画「ちびまる子ちゃん」の表紙のような洋物の柄の大きなお皿を前に、食後のおしゃべりを楽しんでおられました。おや? あれは何の料理か? と疑問に思いながらきしめんをすすっていると、1人の若い女の子が来店し「オムライスください」と一言。えぇ?! オムライス? そして出てきたオムライスに注目すると、お皿の大きさにビックリ! そうです、あのまるちゃん皿の正体はこれです。なんとこの数分間で3人もオムライスを注文している! ビックリしたのも束の間、その後すぐに入ってきた常連らしきおじいちゃんも「オムライスちょうだい」とな! それからはもう、私の興味はオムライスまっしぐら。
後日、すぐにオムライス目がけて来店した私。意気揚々と食べるとそれは、懐かしい家庭の味、いや母の味!(作ってるの大将だけど!)「これが昔ながらのお店がなせる業か!」と見せ付けられました。オムライス専門店のようにふわふわトロリというわけでもなく、ソースに特別こだわりがあるわけでもない「チキンライスに薄焼き卵オン・ケチャップソースところにより福神漬け」が、逆に特別に感じます。かみ締めるほどに奥深い味わいのあるチキンライスにはきっと何か隠し味があるのではないかと思っています。
なぜおそば屋さんに洋食が紛れ込んでいるのか(さらっと書いたけれど福神漬けが添えられているのも微妙に謎!)…オムライスの謎は深まるばかりです。ただ分かっているのは、店主が御年90歳で、生まれた頃に開店したお店とのことで、創業90年(店員のおばさま談)。その長い歴史の中で、幾多の困難を乗り越えてメニューに加えられたであろうオムライスは、もしかしたら親から子へ、そして孫へと先代から受け渡された希望の光だったのかもしれない――。などと、勝手に妄想しながら食べるオムライス、絶品です。
あぁ~、食べたくなってきました! 明日のランチはここで決まり!
※「寿々木家」は木曜日が定休日です。
(もっさ)