2019.01.24
【スタッフコラム】しかまる。の暮らしメモ byしかまる。
第6回 「過去の恋と忘却飯」
皆さまはグルメなドラマと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。映画化もした『深夜食堂』、はたまた人気を博し未だシリーズが続く『孤独のグルメ』など、最近 “食べる”をフィーチャーした作品が多いような気がします。
そんな数あるグルメドラマの中でも、この冬とりわけしかまる。の心を掴んで放さなかったのは『忘却のサチコ』というドラマです。原作はビッグコミックスで連載中の同名漫画。文芸誌の編集部で働く主人公佐々木幸子が、結婚式の当日、婚約者に逃げられてしまったところから物語は始まります。幸子は美味しいものを食べた時に得られる“忘却の瞬間”に気づき、失踪した婚約者を忘れるため、ありとあらゆる美食を追いかけます。私事ではありますが、大好きな人が前触れもなく目の前からいなくなるという経験があり、この他人事とは思えない設定に終始食い気味で観てしまいます。
主人公幸子を演じる高畑充希ちゃんの食欲を誘う良い表情と食レポはまさに飯テロ。深夜枠の放送ということもあり、夜中にお腹がぎゅるるっと鳴ってしまいます。数ある料理のなかでも印象に残っているのは、第11話に出てくる韓国料理「ソルロンタン」です。幸子は明け方まで続いた会社の忘年会の後、後輩に誘われ韓国料理屋さんへ。そこで頼んだのがソルロンタン。牛骨などを煮込んだ乳白色のスープに薄切り肉が入った料理で、香辛料は入っておらず、キムチやカクテキなどをお好みで後からスープに入れるスタイルの料理です。この場面で後輩は、入れるものによって次々と味が変わるスープと幸子の前からいなくなってしまった婚約者を重ね合わせ、「幸子さんの記憶の中にいる婚約者も、逃げてしまった婚約者もどちらも本当の姿だったんじゃないですか。」と幸子に諭します。
自分の事かと錯覚してしまうほど真っすぐで正しい言葉がスープと同じように沁み渡り、思わずこのシーンをリピート。これを食べたら記憶を忘却(まではいかなくとも、まろやかに)できるのでは、と思い立ったが吉日。後日、スーパーで手に入れたソルロンタンの素で、お手軽に忘却飯を再現することにしました。出来上がった料理を味わっていると、自然とドラマのごとく幸子の食レポが脳内に流れ込んできます。完全に忘却! とはなりませんでしたが、幸子に触発され私の中のグルメスイッチが入ったことは確かなのでした。
(『忘却のサチコ』番組公式HP→https://www.tv-tokyo.co.jp/boukyakunosachiko/)
(しかまる。)