2022.07.28
【スタッフコラム】日々是好日(ときどき鉱石)byちゅんこ
季節や地域が違うことによって、呼び方が異なる食べ物があります。それは少し前に友人がSNSに書いた投稿を目にしたときのことでした。「ちまきを食べた」と書かれたものに映るのは、私が想像したものとは別の姿をしていました。これは何だろうと不思議に思って調べてみたら、興味深いことがわかりました。私が頭に思い浮かべたのはいわゆる中華ちまきです。ところが、友人のいうちまきとは、和菓子のことです。どうやら北海道〜関東甲信は中身がおこわのものを「ちまき」と呼ぶ人が多く、一方で東海〜九州では笹などの葉に包まれた甘いお団子のものを「ちまき」と呼ぶのだそうです。
端午の節句にちまきを食べるのは、中国の行事が由来しています。こんな面白い言い伝えがあります。その昔、中国に屈原(くつげん)という詩人がおり、人々から慕われていました。ある日、楚の首都が大国秦により陥落したと聞いた屈原は祖国を憂い、川に身を投げてしまいます。その日が5月5日でした。人々は屈原を偲び、毎年この日に供養として竹筒に米を入れ、川に投げ込みます。そんなある日、屈原の霊が現れ、こう訴えました。「淵には蛟龍(こうりゅう=龍の一種)が住んでおり、投げ込んだ供物を食べてしまう。厄除けに楝樹(せんだん)の葉で包み、五色の糸で巻けば蛟龍は食べないであろう」。それから人々は笹の葉にご飯を包んで川に投げ込むようになったのがはじまりだそうです。
葉っぱで料理やお菓子を包むと、葉の香りが食べ物に仄かに移り、おいしくいただくことができます。また殺菌・抗菌作用の効果もあり、昔の人の知恵はすごいなあと感心してしまいます。いままで売り場で見かけたことはあったけれど、一度も食べたことのなかった甘い団子のちまき。次に見かけたときはぜひチャレンジしてみたいと思います。
(ちゅんこ)