2019.06.27

【スタッフコラム】二十四節気・七十二候とボク by上田

二十四節気:夏至(げし)、次候:菖蒲華(あやめはなさく)

雨が何日も続くと、晴れ間がのぞくのが嬉しくなりますね。濡れた紫陽花や菖蒲(あやめ)が綺麗で、気温があまり高くない日暮れどきは散歩するのに最適です。去年は梅雨が驚くほど短くて、関東では今時分には梅雨が明けてしまいました。六月の梅雨明けは観測史上初ということだったので今年はもう少し長くは続くでしょうが、初夏が好きな私としては一年のうちのわずかな期間しか感じられないこの涼しい夕刻の散歩が名残惜しい気もします。

日本で梅雨が到来する頃に咲くと言われる菖蒲(あやめ)は、古くから世界中で愛されてきました。この花はフランスの国花でもあり、欧米では「アイリス」と呼ばれています。あまりにも古くから有名であるためか色んな国で似た種類の花や名前と混同してしまうことがあるようです。

日本では、どちらも優れていて優劣がつけにくいことの例えで使われる「何(いず)れ菖蒲(あやめ)か杜若(かきつばた)」というこの言葉があるように、同種でよく似たアヤメ科の花たち、菖蒲(アヤメ:5月上旬〜中旬頃)、杜若(カキツバタ:5月中旬〜下旬頃)花菖蒲(ハナショウブ:5月下旬〜6月下旬頃)はわずかに時期を重ねながら順番に咲きます。端午の節句でお風呂に入れる菖蒲(しょうぶ)とは分類学上も全く異なるそうで、これもまた混乱してしまいます(ちなみにショウブは、今の区分けでは異なるそうですが旧分類学上はサトイモの仲間)。

欧米で有名なフランス王家の印でもある「フルール・ド・リス」と呼ばれる紋章は、誰もが一度は見たことがあるほどよく知られたものなのですが、そのモチーフはアヤメだと言われています。しかし、フランスで「フルール・ド・リス」と言えば通常は百合の花だととらえられてしまうそうです。なんでもキリスト教では聖母マリアの純潔や聖三位一体(父と子と霊)を表すユリの紋章としても古い歴史があるのだとか。ユリの花とこのアイリスがどういった理由で一つの紋章にまとまってしまっているのかは、ずいぶん調べたのですが結局わかりませんでした。しかも世界中でこの事実が案外混乱なく受け入れられてもいるようで、ますます不思議です。

私は調べているうちに、見分けづらいし名前も由来も混沌としたこの菖蒲(あやめ)にだんだんと惹きつけられてしまいました。だいたい、漢字だけで書いたら菖蒲だから、ショウブなのかアヤメなのか50%の確率で間違えちゃうんですよね。困っちゃうなぁ。

(上田)