【2024/6/1(土)~6/7(金)】『フォロウィング』+『π<パイ>』// 特別レイトショー『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』

今や世界的な映画監督となったダーレン・アロノフスキー監督とクリストファー・ノーラン監督。今週の早稲田松竹では、原点となった彼らのデビュー作『π<パイ>』と『フォロウィング』の2本立てをお届けします。デビュー作らしからぬストーリーテリングと映像美、そして革新的な仕掛けで世界の注目を集めるきっかけとなった作品です。

『π<パイ>』は、アロノフスキー監督によるSFサイコスリラー。主人公の数学者が数式の解明を追求する中で精神的な葛藤に直面します。サイケデリックな映像と重層的なプロットで観客を引き込み、現実と幻想の境界を曖昧にします。

一方、『フォロウィング』は、ノーラン監督によるスリリングなノワールもの。ストーカーと被害者の心理的な関係が描かれます。主人公が知らぬ間に事件に巻き込まれていくことから、観客は緊張感のある展開に引き込まれていきます。

どちらの作品にもいえるのは、「モノクロの世界」、そして「低予算」で制作されていること。色彩の欠如は映像に深みを与え、物語やキャラクターの鮮明さを際立たせています。そして、限られた予算の中で創造力を駆使し、映画界に新たな才能を示すことに成功しているのです。むしろ、仕方なく生じた制約だからこそ、クリエイティブな解決策と独創性を引き出せたのではないでしょうか。

また、レイトショーでは、今 敏監督のこれまたデビュー作である『PERFECT BLUE/パーフェクトブルー』を併せて上映いたします。独自の映像表現で世界中のクリエイターに大きな影響を与えた本作。現実と虚構の境界が入り混じり、登場人物の心理的な葛藤が強調される点や、個人のプライバシーが脅かされる…といった要素など、『π<パイ>』や『フォロウィング』と共通したテーマを扱った作品であり、これらがほぼ同時期に制作されていることはとても興味深いことです。

デビュー作は、たびたび映画監督の才能や個性を最も鮮明に表現したものとして評価されます。制約の中で培われたアイデアと情熱に溢れた作品たち、もはやデビュー作としての地位を超えた傑作です。四半世紀経った今、彼らの伝説のはじまりをどうぞお楽しみください。

π<パイ> デジタルリマスター
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ダーレン・アロノフスキー監督作品/1998年/アメリカ/85分/DCP/ヨーロピアンビスタ

■監督・脚本 ダーレン・アロノフスキー
■製作 エリック・ワトソン
■撮影 マシュー・リバティーク
■編集 オレン・サーチ
■音楽 クリント・マンセル

■出演 ショーン・ガレット/マーク・マーゴリス/スティーヴン・パールマン/ベン・シェンクマン/サミア・ショアイブ

■1998年サンダンス映画祭最優秀監督賞受賞/インディペンデント・スピリット賞新人脚本賞受賞

©1998 Protozoa Pictures, Inc. All Rights Reserved

【2024/6/1(土)~6/7(金)上映】

【狂気】は鮮烈に覚醒する――

天才的IQと数学能力を誇るマックス・コーエン。宗教真理からウォール街の株価予測まで、世界は全て数式で説明できると確信しており、マンハッタン・チャイナタウンの自宅にある自作コンピューターで日々神秘の数字の法則探しにのめり込んでいる。そして、ついに核心に触れると思った瞬間、彼は謎の組織から付け狙われはじめ、そして彼の脳内には異常な変化が起こり始める――。

ダーレン・アロノフスキー衝撃のデビュー作がデジタルリマスター版でスクリーンに蘇える!

アーティスティックなモノクローム映像にデジタル音源を重ねた『π<パイ>』。わずか6万ドルという低予算の製作費で、数字に取りつかれた男の妄想を超感覚的に描き、98年サンダンス映画祭で「デヴィッド・リンチとキューブリックの世界を合わせもつ」と絶賛され、見事最優秀監督賞を受賞。その後全米をはじめヨーロッパでも公開され、最もエッジな作品として大ヒットを記録。サントラには、マッシヴ・アタック、エイフェックス・ツイン、ロニ・サイズらを迎え、世界中に衝撃を与えたカルトフィルム。

近年では『ブラック・スワン』(2010)や『ザ・ホエール』(2022)など話題作を手掛けたダーレン・アロノフスキーの衝撃のデビュー作がこの度公開25周年を記念しA24によってデジタルリマスターされスクリーンに甦る。

フォロウィング 25周年/HDレストア版
Following

クリストファー・ノーラン監督作品/1998年/イギリス/70分/DCP/スタンダード

■監督・脚本・撮影 クリストファー・ノーラン
■製作 クリストファー・ノーラン/エマ・トーマス/ジェレミー・セオボルド
■編集 ギャレス・ヒール/クリストファー・ノーラン
■音楽 デヴィッド・ジュリアン

■出演 ジェレミー・セオボルド/アレックス・ハウ/ルーシー・ラッセル

©2010 IFC IN THEATERS LLC

【2024/6/1(土)~6/7(金)上映】

この映画に仕掛けられたトリックは100%見破れない

作家志望の男ビルは、創作のヒントを得るため、通りすがりの人々のあとをつける行為を繰り返していた。ある日、ビルがいつものように男をつけていると、尾行していることがその男、コッブにバレてしまう。だが、コッブもまた、他人のアパートに不法に侵入し、私生活を覗き見る行為に取りつかれていた。ビルは次第にコッブに感化されていく。数日後、ビルはコッブと二人で侵入したアパートで見た写真の女性に興味を抱く。やがて、彼女の尾行を始めるビルだったが、その日を境に、彼は思わぬ事件に巻き込まれていく…。

ノーランのすべてが詰まった、幻のデビュー作

『フォロウィング』はロッテルダム映画祭をはじめ数多くの映画祭で賞を受賞し、クリストファー・ノーランの才能を一躍世界に知らしめた記念すべき長編デビュー作である。未来から過去へと時間軸を逆向きに映し出した『メメント』。アメコミ映画の新時代を切り開き、数々の伝説を打ち立てた『ダークナイト』シリーズ。<夢の中>を映像化し、観る者の度肝を抜いた『インセプション』。五次元の宇宙空間を創り上げた『インターステラー』。時間が逆行する世界を描き未知なる映像体験へ誘う『TENET テネット』。誰も観たことのない映像を0から生み出す才能で、常に新たな“体験”を放つノーラン。過去から未来、未来から過去へと交差する時間軸で紡がれる本作は、世界中で絶賛されたこれまでの作品以上に複雑な構成となっており、ノーランの魅力すべてが詰まった傑作である。伝説の、壮絶な、始まりを目撃せよ!

国公開25周年を迎えた2024年にノーランが日本での公開を熱望。本編はオリジナルの16mmエレメントを4Kスキャン。最新技術を駆使し、画面上の傷を除去して、解像度を上げた。これによりシャープで、ディティールまで美しい豊かな映像が実現。音響に関しては、新たに5.1サウンド・トラックを採用。ノーラン監修のもと力強い完成度と完璧な音量レベルとなった。現時点で世界最高のクオリティでスクリーンに帰ってくる。

【レイトショー】PERFECT BLUE/パーフェクトブルー 4Kリマスター版
【Late Show】Perfect Blue

今 敏監督作品/1997年/日本/81分/DCP/R15+/ビスタ

■監督 今 敏
■企画 岡本晃一/竹内義和
■企画協力 大友克洋
■原作 竹内義和
■ベースキャラクタークリエイト 江口寿史
■脚本 村井さだゆき
■制作プロデューサー 丸山正雄/井上博明
■制作 マッドハウス/オニロ
■製作総指揮 鷲谷健
■音楽 幾見雅博(OFFICE 193)

■声の出演 岩男潤子/松本梨香/辻親八/大倉正章/古川恵実子/新山志保

■1998年ベルリン国際映画祭正式招待作品/FANT-ASIA’97 PUBLIC PRIZE THE BEST (グランプリ)受賞/ファンタスボルト’98 ベストアニメーション受賞

©1997MADHOUSE

【2024/6/1(土)~6/7(金)上映】

もう、自分が誰だかわからない。

人気絶頂のアイドルグループを突如脱退し女優への転身をはかった霧越未麻。ところが、彼女の思惑とは裏腹に過激なグラビアやTVドラマへの仕事が舞い込んでくる。周囲の急激な変化に困惑する未麻。そんな折り、彼女の仕事の関係者が犠牲者となった殺人事件が多発する。そして、ファンからは「裏切り者」のメッセージが…。追い詰められた彼女の前に今度は“もうひとりの未麻”が現れる。自分は狂ってしまったのか? これは夢なのだろうか? 連続殺人犯は自分なのか? 次第に現実と虚構の区別がつかなくなっていく未麻。果たして彼女の見た“もう一人の自分”の正体とは一体…。

今 敏監督の名を世界に知らしめた長編デビュー作。リアルとファンタジーの境界を曖昧にする映像表現で、現代に潜む心理的な恐怖描写を可能にした本格サイコ・サスペンス。劇場公開から25周年を迎えた本作が【4Kリマスター版】として蘇った。