ダイヤモンドの輝きは永遠なり
今週の2本立ては、現在最も知性とエロスを兼ね備えた女優ともいえる★二コール・キッドマン★の特集。
今でこそ押しも押されぬ大女優としての地位を確立しているが、当初はトム・クルーズの妻というイメージが先行し、
純粋な女優としての評価はなされていなかった二コール。

しかし、そんな彼女が危険な香りを漂わせ始めたのがご存知
ガス・ヴァン・サント監督(『マイ・プライベート・アイダホ』『エレファント』『ラストデイズ』)作品『誘う女』。
ニコールはこの作品でゴールデングローブ主演女優賞を受賞。
(この後『めぐりあう時間たち』でアカデミー主演女優賞も獲得!!!)

ストーリーの詳細は割愛するが、その作品タイトルの如く、
二コールは「誘う女」として、周りを取り巻く男どもを狂わせていく。
そして、観ている者の脳を激しく刺激する、そう、知的エロスで。

アイズ ワイド シャット
EYES WIDE SHUT
(1999年 アメリカ 159分) R-18
pic 2008年3月1日から3月7日まで上映 ■監督・脚本 スタンリー・キューブリック
■脚本 フレデリック・ラファエル
■出演 トム・クルーズ/ニコール・キッドマン/シドニー・ポラック/トッド・フィールド

ハリウッド映画には星の数ほどセクシー女優がいる。
しかし、知的エロスを兼ね備えた女優は指で数える程しかいない。
ハル・ベリー(アカデミー主演女優)がブラックダイヤモンドなら、二コールは純粋なダイヤモンドに例えられるだろう。

そんなダイヤモンドを目の肥えた監督達がほっとくはずもなく、
二コールは様々な名監督達からオファーを受け、そのキャリアをまさにダイヤの如く輝かしいものとしていく。

ガス・ヴァン・サント、
デヴィット・フィンチャー(『ファイト・クラブ』)、
ラース・フォン・トリアー(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)、
そして巨匠スタンリー・キューブリック…
つまり、ニコールの作品さえ観ておけば、おのずと名作、傑作にめぐりあえる、といえる。

今回上映される『アイズ ワイド シャット』のニコールも思う存分にその輝きを放っている。主人公はトム・クルーズだが、ストーリーの鍵となり、作品を通して流れる不穏な雰囲気はニコール演じるアリスを中心に放たれる。

巨匠スタンリー・キューブリックは完璧主義者として有名だが、今作の撮影中も当時夫婦だったトム・クルーズとニコールの仲を裂くような厳しい要求をした、とも言われている。これがどこまで本当か定かではないが、事実この夫婦は撮影終了後、離婚に至っている。

この事実を知った上で、1度観た方ももう1度観て頂きたい。そして、この映画でニコールを中心に放たれる美しき不穏なリアリズムを感じて欲しい!この実感こそが映画の本質なのだから!

一部でキューブリック作品最大の駄作との声も挙がっているが、それはこの映画があまりに迷宮じみたものであるがゆえ。本当の答えは未だスクリーンの中に埋もれたままである。


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インベージョン
THE INVASION
(2007年 アメリカ 99分)
pic 2008年3月1日から3月7日まで上映 ■監督 オリヴァー・ヒルシュビーゲル
■脚本 デヴィッド・カイガニック
■出演 ニコール・キッドマン/ダニエル・クレイグ/ジェレミー・ノーサム/ジャクソン・ボンド/ジェフリー・ライト

■オフィシャルサイト http://wwws.warnerbros.co.jp/theinvasion/

生物と美女のあいだ

『インベージョン』の監督は今、ドイツ人としてハリウッドで最も活躍しているオリヴァー・ヒルシュビーゲル。デビュー作『es〔エス〕』では、アメリカで実際に行われた心理実験を題材に、因人役と看守役に振り分けられた被験者たちが、役割に応じて変貌していくさまをリアルに描いて観る者の背筋を凍らせた。

また、『ヒトラー 〜最期の12日間〜』では自国のタブーと向き合い、これ以上ない緊張感で極限状態に置かれたヒトラーを一人間として捉え、その崩壊をリアルに描いた。

そんな俊英オリヴァー・ヒルシュビーゲルが今作のヒロインとして選んだのは、ダイヤのように光り輝く女優ニコール・キッドマン。これまでも数々の名監督達と仕事をこなしてきた彼女が今作では未来の名監督とタッグを組むこととなった。

話の内容を一言でいえば、パニックスリラーもの、とでもなるだろうが、
この作品はまさに人間そのものを描いたヒューマンドラマでもあるのだ。

去年、科学系の書籍としては異例のベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」の著者・福岡伸一はこう言う

【私たち人間の体は分子レベルで観察すると、早い部分で数時間、遅い部分でも一年の間にすべて新しい分子に入れ替わってしまう】

つまり、昨日の我々と今日の我々は分子レベルでいうと【別人】になっていると言っても過言ではない、ということだ。ここまで作り手達が考えていたかどうかは別として、まさに『インベーション』ではそのような事が現実に起こり、混乱を招く。その中で必至にもがき、闘い続ける女を二コール・キッドマンが演じている。

美女の乱れ髪はなお美しい

そう、混乱の中で乱れるのは美女に限る。
そして、混乱を乗り越えた先に更なる美が生まれるのだ。
しかし、このような美のコントロールはただの美女ではなしえない。
知的センスを持ち合わせていなければならないのだ。
だからこそ選ばれし女優、二コール・キッドマンがヒロインであるのは至極当然といえる。

分子レベルで日々、毎時間入れ替わっている我々人間の本質と真正面から向き合う主人公、
これは人間が本来的に抱えている不安と葛藤、
そしてそれでも生きている我々の生命力の誇示を託されたヒューマンドラマと読み解くこともできよう。

不安な生だからこそ美しい=ニコール・キッドマンは美しい

ニコール・キッドマンというダイヤモンドを再発掘するこのチャンス!
さあ、あなたもニコール・キッドマンの美を通して、人間生命の美を体感せよ!!!
どうか見逃すことなかれ!!!

(アセイ )


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