dot the i ドット・ジ・アイ
DOT THE I
(2003年 イギリス/スペイン 92分 R-15
2005年7月16日から7月22日まで上映 ■監督・脚本 マシュー・パークヒル
■撮影 アフォンソ・ベアト(『オール・アバウト・マイマザー』

■出演 ガエル・ガルシア・ベルナル(『バッド・エデュケーション』『モーターサイクル・ダイアリーズ』『アモーレス・ペロス』)/ナタリア・ベルベケ/ジェームズ・ダーシー/トム・ハーディ/チャーリー・コックス

(C)2003 SUMMIT ENTERTAINMENT

カルメン(ナタリア・ヴェルベケ)はストーカーと化した恋人から逃れてきたロンドンで、全てを受け容れ、すべてを与えてくれる優しい男、バーナビー(ジェームズ・ダーシー)と出会った。郊外の邸宅でひとり優雅に暮らす彼からの突然のプロポーズを受け、婚約を交わす。ところが、結婚の決まった女性が、独身最後の夜を騒ぎ明かす「ヘン・ナイト・パティー」で、彼女は「ほんとうの男」と出会ってしまう。その場にいる、一番セクシーな男とキスをするのがパーティーのルール。そこでカルメンが選んだ相手はキット(ガエル・ガルシア・ベルナル)。軽い気持ちで交わしたはずのキスが、カルメンの心を激しく揺さぶった。それが全ての始まりだった…。

pic1人の女と、2人の男。よくある三角関係のラブストーリー、これが物語の序盤である。しかし、ドラマが進行するにつれ、徐々にその様相を変化させてゆく。よりダークに、よりサスペンスフルに。

鮮やかな色彩の映像の中に、説明もなく折り込まれる粒子の粗い画面。この謎のもうひとつの視線は、何を意味しているのか?すべては意図されたものなのだろうか?

< dot the i >慣用句 “dot the i’s cross the t’s” からの引用。i と t は似ているから混同することのないように正確に i に点を打ち、t には横線を引かなければならない。

picヒントが次の疑問を生みだす巧みなプロット。タイトルが暗示するものとは、いったい何か?

キット役を演じるのは、世界中から出演オファーの絶えないメキシコ出身の若手俳優、ガエル・ルシア・ベルナル。『モーターサイクル・ダイアリーズ』ではチェ・ゲバラを演じ、ペドロ・アルモドバル監督作『バッド・エデュケーション』にも出演している。

(ロバ)


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ソウ
SAW
(2004年 アメリカ 103分 R-15
pic 2005年7月16日から7月22日まで上映 ■監督・原案 ジェームズ・ワン
■脚本・原案・出演 リー・ワネル

■出演 ケアリー・エルウィズ/ダニー・グローヴァー/モニカ・ポッター

(C)2004 SAW PRODUCTIONS INC

老朽化したバスルーム
対角線上にいる2人の男
足首には鎖
2人の中心にあるのは自殺死体…

全く訳のわからないまま始まるテレビゲームのような状況の中に散乱するアイテムの数々。テープレコーダー、「再生せよ」と書かれたテープ、一発の弾、タバコ2本、着信専用携帯電話、そして2本のノコギリ・・・これらには何の意味があるのか?

pic目覚めたら突然こんなところに放り出されていたゴードン(ケアリー・エルウェズ)とアダム(リー・ワネル)。耳障りな秒針の音と共に告げられたこのゲームに勝つ方法。それは「6時間以内に相手を殺す」ということ。さもなくば2人とも死ぬことになるという。

その頃、タップ刑事(ダニー・グローヴァー)は追っていた。いまだ捕まっていない連続殺人鬼「ジグソウ」を。しかし、奴の目的は命を奪うことではなく、命を粗末にしている人間に命の大切さを気づかせること。その手段が、残酷で恐ろしい「ゲーム」の中にターゲットを放り込むというなんとも強引な(でも効果絶大だろう)やり方なのだ。

pic「ジグソウ」とは一体何者なのか?何故こんなことをしなくてはいけないのか?そして、どうして自分がこんな目にあうのか!?謎だらけの(しかもタイムリミットまである)空間で、もがく2人の男。一秒ごとに高まるストレス、恐怖、焦り、怒り…。

そしてそれは私たち観客に伝染し、限界を超えた精神状態まで連れて行かれる。…こんな疲れる映画が今まであっただろうか。監督のワンいわく、「観客に疲労困憊して劇場を後にしてもらいたい」とのこと。まさに狙いどおりの映画。

pic26歳という若さで世界中に刺激的な才能を見せつけたワンとリー。2人はこの作品を「死ぬほどクール」にしようと思っていた。ストーリー、設定、カメラはもちろん音楽も何よりクールなものを目指した。

そして2人はナイン・インチ・ネイルズのチャーリー・クロウザーと出会った。重くて、サイケデリックで、不安を煽るようなサウンドは言葉どおり最高にクールだ。そんなチャーリーを試写で「これコワすぎ。一服して心を落ち着かせなきゃ」と言わせるほどビビらせてしまった2人も、最高にクールだ。

(cotd)



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