天国の口、終りの楽園。
Y TU MAMA TAMBEIN
(2001年 メキシコ 106分 )
2003年4月5日から4月11日まで上映
■監督・脚本・製作 アルフォンソ・キュアロン
■脚本 カルロス・キュアロン
■出演 ガエル・ガルシア・ベルナル/ディエゴ・ルナ/マリベル・ベルドゥ/ファン・カルロス・レモリーナ
■2001年ヴェネチア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)受賞(ガエル・ガルシア・ベルナル)・脚本賞受賞/2002年アカデミー賞脚本賞ノミネートほか
(C)ギャガ・コミュニケーションズフリオとテノッチは17歳。学校を卒業したばかりの夏、お互いの恋人がヨーロッパ旅行に行ってしまったふたりは、進路の悩みや親との対立は頭の隅に追いやって遊びに明け暮れていた。
そんなある日、テノッチの親戚の結婚式でふたりは美しいスペイン女性に出会い、3人は伝説の海岸「天国の口」を目指し旅に出る。
太陽に近い国メキシコではすべてがまぶしい。あまりにも青い空、目を射る色鮮やかな自然、乾いた空気にあふれる官能…。生と死、優しさと残酷さが交錯するメキシコを旅して、ひとりの女とふたりの少年が見つけたものは何か?
生のエネルギーあふれる映像に、一瞬で過ぎ去っていく青春のノスタルジ−を漂わせるのは『大いなる遺産』(97)などでハリウッドで活躍するアルフォンソ・キュアロン監督。
脚本は監督アルフォンソと実の兄弟であるカルロス・キュアロンの共同作業。脚本完成度の高さは、ヴェネチア国際映画祭で最優秀脚本賞を受賞するなど、世界のジャーナリストを唸らせた。
青春という魅惑の混乱のまっただなかに生きるふたりの少年を演じるのは、実生活でも生まれた時からの親友どおしという、『アモーレス・ペレス』(00)で世界的に注目されたメキシコの新星ガエル・ガルシア・ベルナルと、『夜になるまえに』(00)のディエゴ・ルナ。そして若いふたりを魅了する女性ルイサには『ベルエポック』(92)のマリベル・ベルドゥーがスペインから迎えられた。
本国メキシコではハリウッドの超大作を抑え、2001年度の年間興行収入堂々の第一位を記録、社会現象となった話題作である。
アモーレス・ペロス
AMORES PERROS
(1999年 メキシコ 153分)
2003年4月5日から4月11日まで上映
■監督・製作 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
■脚本 ギジェルモ・アリアガ・ホルダン
■出演 ガエル・ガルシア・ベルナル/エミリオ・エチェバリア/ゴヤ・トレド/アルバロ・ゲレロ/バネッサ・バウチェ/ホルヘ・サリナス
■2002年アカデミー賞外国語映画賞ノミネートほか
(C)東京テアトル町中を一台の車が暴走している。追っ手から逃げる二人の若者。後ろの席には血まみれの黒い犬が横たわっている。追う車からピストルで狙われるが、うまくかわしたと思った瞬間、交差点でもう一台の車に激突し…。
この映画で描かれるのは、死に至るほどの狂おしい愛。兄嫁の報われぬ恋に身を焦がす若者オクタビオ。キャリアも不倫の愛もすべて勝ち取ったかに見え、一転して絶望のどん底に突き落とされる若い女バレリア。捨て去った家族への愛の幻を追い求める老人エル・チーボ。
ひとつの交通事故に重なるそれぞれの生きざま。だがそれはいずれも「許されぬ愛」なのである。
舞台となるのは、巨大都市メキシコシティー。世界一の人口を持ち、富と貧困の差が激しいこの街では、光と影のコントラストもまた激しい。
この映画では「陽気なラテンの街」といった観光的なショットはいっさい挿入されず、まるでドキュメンタリーのようなリアル感を味わえるであろう。
この激しくも哀しい作品を監督したのは、本作がデビューとなるアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。メキシコシティーのナンバーワンDJとして活躍した後、音楽プロデュースやテレビの演出を手掛けてきた彼は、脚本家ギジュルモ・アリアガ・ホルダンが作ったオリジナルストーリーに強い衝撃を受け、すぐさまこの作品の映画化を決意したという。そして脚本に36回も改訂を重ね、3年の月日を要して作品を完成させた。
数々の賞を受賞し、各国で絶賛をあびた、衝撃の傑作である。